■対数と計算尺(その8)
現在使われている三角表は,直角三角形の辺の長さに基づいているが,プトレマイオスの頃は,中心角2θとその補角π−2θに対する弦の長さで表されていた.これは結局,
sinθ=1/2・弦2θ,cosθ=1/2・弦(π−2θ)
と同じである.
一方,対数表を作成したのは17世紀のブリックスである.これはいまでも書店で入手できるから,実物をご覧になった方も多かろう.その計算アルゴリズムは2項定理
(1+x)^n=1+nx+n(n−1)/2!・x^2+n(n−1)(n−2)/3!・x^3+・・・
に基づくものであった.
これらは後年,三角関数,指数関数,対数関数など多くのよく知られた関数がベキ級数に展開されるテイラー展開
exp(x)=1+1/1!x+1/2!x^2 +・・・
log(1+x)=x−1/2x^2 +1/3x^3 −1/4x^4 +・・・
sinx=x−1/3!x^3 +1/5!x^5 −・・・
sinhx=x+1/3!x^3 +1/5!x^5 +・・・
cosx=1−1/2!x^2 +1/4!x^4 −・・・
coshx=1+1/2!x^2 +1/4!x^4 +・・・
arctanx=x−1/3x^3 +1/5x^5 −1/7x^7 +・・・
につながっていくのである.
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