■いろいろの漸化式と母関数(その57)
【2】ベンフォードの法則
1938年,GEの物理学者ベンフォードは対数表の対数表の最初が残りの部分よりもひどく汚れていることに気づき,「1ではじまる数が多いのはなぜか」という問題に説明を与えました.
それによるとして,0でない先頭の数字がdになる確率は,n→∞のとき,
P(d)=log10(1+1/d)
に収束することが知られています.
d=1→P=0.301 d=6→P=0.067
d=2→P=0.176 d=7→P=0.058
d=3→P=0.126 d=8→P=0.051
d=4→P=0.097 d=9→P=0.046
d=5→P=0.079
最大桁の頻度は1が一番高く逆に,9から始まる数値は4.5%程度まで落ちるのです.
自然に発生するデータの数値では1で始まる数が多い,すなわち,一様分布するのではないというのがベンフォードの法則(1938年)です.その確率は何と30%にもなるというわけです.0は最上位桁にはなれないので,一様に分布するのであれば1/9=11%のはずですから,はるかに多い割合です.このことは計算尺を見れば1で始まる数が全体の約30%を占めることとまったく同じであることがわかります.
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