■いろいろの漸化式と母関数(その18)

 アダマールの問題とは「すべての成分の絶対値が高々1であるようなn×n行列で,行列式の絶対値が最大のものを求めよ」であるから,したがって,+1か−1の要素をもつn×n行列であっても,0,+1を成分とする行列であってもよい.n次元超立方体の頂点を[−1,1]^nにするか[0,1]^nにするかの違いであって本質的なものではない.

 各行ベクトルの長さは高々√nであるから,行列式の値(=平行2n面体の体積)はn^n/2を超えることはない.

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【1】アダマール行列の再帰的構成法

 A(m×n行列)とB(m’×n’行列)の直積(クロネッカー積)は,2つの行列の各要素を直接乗じて作る(mm’×nn’)行列である.直積では第1項の各要素をその項と第2項との積で置き換えることによって定義される.

 両者の成分のすべての積を作り,各要素を(ci'j')=(aijbkl)において,

  i’=i+m(k−1)

  j’=j+n(l−1)

の式にしたがって並べると,

  1≦i≦m,1≦j≦n,1≦k≦m’,1≦l≦n’

より,

  1≦i’≦mm’,1≦j’≦nn’

 また,正方行列X(n×n行列)とY(m×m行列)の直積の固有値は,Xのn個の固有値とYのm個の固有値の積である.テンソルの数学的定義はそれが何であるかよりも座標変換に対していかに振る舞うかによって規定するから,理解しにくいかもしれない.

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