■ベキ和と未定係数法(その7)
1/1−1/2+1/3−1/4+1/5−1/6+・・・
は調和級数の交代級数で,この値は対数関数のマクローリン展開
log(1+x)=x−x^2/2+x^3/3−x^4/4+・・・
によりlog2に収束することがわかります.
Σ(−1)^n-1 ・1/n=log2
メルカトールの定数とかグレゴリーの定数と呼ばれます.
ここでの問題は
Σ1/k2^k=log2
Σ1/k^22^k=π^2/12−1/2・(log2)^2
を求めることですが,
Σk/2^k,Σk^2/2^k
と同じ方法で求められそうにありません.そこで超幾何関数に変換してみることにします.
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超幾何関数は一般化することが可能でp個の上部パラメータとq個の下部パラメータを有する超幾何関数は
pFq(a1,a2,・・・,ap;b1,b2,・・・,bq;x)と表されます.
an+1xn+1/anxn=(n+a1)(n+a2)・・・(n+ap)/(n+b1)(n+b2)・・・(n+bq)x/(n+1)
したがって,超幾何関数は項比が有理関数
an+1x^n+1/anx^n=p(n)/q(n)x/(n+1)
であるような級数にほかなりません
たとえば,級数
Σ1/n^4(2n,n)は漸化式
(2n,n)=2n!/n!n!=2(2n-1)/n(2(n-1),n-1)より
n^4(2n,n)=2(2n-1)n^3(2(n-1),n-1)
=2(2n-1)n^3/(n-1)4*(n-1)^4(2(n-1),n-1)
なる漸化式が得られます.
ここで,Σ1/n^4(2n,n)が第0項から始まるようにパラメータをずらします.
Σ1/(n+1)^4(2(n+1),n+1)
この級数の項比は
an+1x^n+1/anx^n=(n+1)^5/2(2n+3)(n+2)^2*x/(n+1)
ですから,
Σ1/(n+1)^4(2(n+1),n+1)=a05F4(1,1,1,1,1|1/4)
(3/2,2,2,2| )
また,a0=1/2より
Σ1/(n+1)4(2(n+1),n+1)=1/25F4(1,1,1,1,1|1/4)
(3/2,2,2,2| )
これより級数Σ1/n^4(2n,n)は超幾何級数であると同定されます.
また,ゼータ関数は
ζ(s)=Σ1/(n+1)^sより
an+1xn+1/anxn=(n+1)^(s+1)/(n+2)^s*x/(n+1),a0=1
したがって,
ζ(s)=s+1Fs(1,1,・・・,1,1|1)
(2,2,・・・,2 | )
と表されます.指数関数,対数関数,三角関数,2項関数,ベッセル関数,直交多項式列,不完全ガンマ関数,指数積分,ガウスの誤差関数なども超幾何級数であって,超幾何関数は一般に収束半径1をもちます.
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