■お化け煙突(その4)

 私の在勤する病院は森の中にあるが,隣接する森を伐採して新病院を建てることになった.伐採が進むにつれて,森の向こうにある道路が少しずつ見えるようになってきた.それで思い出したのが,規則正しい森の問題である.

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【1】規則正しい森

[Q]直径は26の円形の森があり,原点以外のすべての格子点に直径0.16の木が生えている.このとき,原点に立っているいる人にはこの森の外側が見えないことを証明せよ.

[A]森の外が見えるとすると,それは幅0.16の帯が原点以外の格子点を含まないといつことと同値である.しかし,

  26×0.16=4.16>4

となり,ミンコフスキーの定理に矛盾する.

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【2】ミンコフスキーの格子点定理

 「平面(n次元空間)上の任意の単位格子において,1つの格子点を中心として1辺の長さが2の正方形(面積4の平行四辺形,面積2^nの中心対称な凸体)を任意の向きにおいてみると,内部あるいは境界上にもうひとつの格子点が必ず存在する.」

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【3】ラグランジュの定理(4平方和定理)の言い替え

 数の平方数分割すなわち「すべての整数は4つの平方数の和によって表し得る」(ラグランジュ)

  n=□+□+□+□,□=k^2

は有名である.

 すなわち,「すべての正の整数は高々4個の整数の平方和で表される」というのが,ラグランジュの定理です.すなわち,ラグランジュの定理は4次元空間内の原点を中心とする半径√nの球面には必ず格子点があることを主張しているわけです.半径√nの2次元の円,3次元の球には格子点が存在するとは限らないのです.

 n=4のとき,

  √n=2

となって,ミンコフスキーの定理からラグランジュの定理が成り立つのである.

 n>4ならば√n>2より球の内部に格子点が存在するが,逆にn=2,3ならば

  √n<2

より,半径√nの2次元の円,3次元の球には格子点が存在するとは限らないというわけである.

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