■分割数の漸近挙動(その38)
オイラーは積Π(1-x^n)に対する注目すべき式
Π(1-x^n)=Σ(-1)^k・x^(3k^2+k)/2
を見出しました.
すなわち,Σbmx^m
m=(3k^2+k)/2のとき,bm=0,
m≠(3k^2+k)/2のとき,bm=(-1)^k
(3k^2+k)/2は五角数とも呼ばれ,ここでベキ級数の指数に初めて2次式が登場した.オイラーがこの予想を提起し,彼自身が証明を見出すまで多くの年月が過ぎた.のちにヤコビにより一般的に研究された.
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q=exp(2πiz),z=x+iy
Π(1−q^n)=Σ(-1)^k・exp(πiz(3k^2+k))
Π(1−exp(πinz)=Σexp(πi3zn^2+2πin(1/2+z/2))
両関数は変換z→z+1に対して不変,z→−1/zに対して簡単な性質が与えられるから,モジュラー群
z→(az+b)/(cz+d)
を生成する.フーリエ展開により
Σexp(πiz(n+w)^2)=√(i/z)Σexp(−πin^2/z+2πinw)
右辺の和をz→−1/zで置き換えると,テータ関数
θ(z,w)=Σexp(πin^2z+2πinw)
となる.
θ(−1/z,w)=Σexp(πiz(n+w)^2)
また,
Π(1−exp(πinz)=Σexp(πi3zn^2+2πin(1/2+z/2))の右辺はθ(3z,1/2+z/2)
=f(z)とおくと
f(−1/z)=θ(−3/z,1/2−1/2z)
2n+1=uとおくと
=√(z/3i)exp(πi/12)Σexp(πizu^2/12+πiu/6)
こうして,ベキ指数内にzの1次関数のみが現れるように変形されたことになる.
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