■ケプラーの球体充填問題(その20)
τ1=2,τ2=6,τ3=12,τ8=240,τ24=196560
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【1】kissing numberの上界と下界
n次元球のkissing numberの上界は,コクセターの方法によって粗雑ながら押さえられます.それは1球面上に大きさの等しい球帽(球面上の円,球面半径φ)を埋め込むときの最密充填の問題に帰着されるのですが,それは単体的密度限界
dn=(2n/(n+1))^(-n/2)Dn
=(n+1)^(1/2)(n!)^2/2^(3n/2)・vnFn(1/2arcsec(n)θ)
と類似の方法になっています.
→Fn(シュレーフリ関数)
n次元正単体(二面角2θ)の頂点を超球の中心において,(n−1)次元球面上に射影します.球面上には(n−1)次元球面正三角形ができ,その面積は
Σ=2^(-n)n!snFn(θ)
で与えられます.これは正単体の1辺の球面距離2φの関数になります.
また,σを球面正三角形の頂角の和とすると,球面上にはn個の点が配置され,(n−2)次元球帽が(n−1)次元球面を覆うことになります.そして,1つの頂角は(n−1)次元正単体を(n−2)次元球面上に射影したものに等しくなりますから
σ=n2^(-n+1)(n−1)!Fn-1(θ)
すなわち,上界は
(p,3,・・・,3),θ=π/p
なる三角形面正多面体(単体的正多面体:n−1次元面が単体)の頂点に(n−2)次元球を配置する問題となるのですが,ここで,球面上にN(φ)個の点を配置した場合,不等式
N(φ)≦σsn/Σ
が成り立ちますから,最終的に
N(φ)≦2Fn-1(θ)/Fn(θ)
sec2θ=sec2φ+n−2
を得ることができます.
kissing number(τn)に関しては,φ=π/6の場合を考えればよいので, τn≦2Fn-1(1/2arcsecn)/Fn(1/2arcsecn)
となり,
n=2 → 2F1(π/6)/F2(π/6)=6
n=3 → 2F2(1/2arcsecn3)/F3(1/2arcsecn3)=6/(3-π/arcsec3)=13.39・・・
n=4 → 2F3(1/2arcsecn4)/F4(1/2arcsecn4)=5(1+1/(2-2π/arcsec4))=26.44・・・
5次元以上では,数値積分によらなければなりませんが,
fn(x)=Fn(1/2arcsecx)
と書くことにすると,
f2(x)=arcsecx/x
fn(x)=1/π∫(n-1,x)fn-2(x-2)/x√(x^2-1)dx
=fn(n)+1/π∫(n,x)fn-2(x-2)/x√(x^2-1)dx
fn(x)=fn-1(x)-1/3fn-3(x)+2/15fn-5(x)-17/315fn-7(x)+62/2835fn-9(x)-・・・(n:odd)
fn(x)=1/3fn-2(x)-2/15fn-4(x)+17/315fn-6(x)-62/2835fn-8(x)+・・・(n:even)
リーチは台形則を用いて数値積分し,
2fn-1(n)/fn(n)
を求めました.その結果は
2f3(4)/f4(4)=22.44・・・
2f4(5)/f5(5)=48.70・・・
2f5(6)/f6(6)=85.81・・・
2f6(7)/f7(7)=146.57・・・
2f7(8)/f8(8)=244.62・・・
以下,(9)401,(10)648,(11)1035,(12)1637,・・・と続きます.
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n 4 5 6 7 8 9 10 11 12
N(φ) 26 48 85 146 244 401 648 1035 1637
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【2】kissing numberの漸近評価
kissing numberの漸近評価については
1/b=sec2θ−n+1
とおくと,
Fn(θ)〜√{(1+nb)/2}・1/(n!e^(1/b))・(2e/πnb)^(n/2)
したがって,
N(φ)〜2^(1-n/2)√(πcos2φ)n^(3/2)/(e(sinφ)^(n-1))
φ=π/6のとき
τn 〜 2^((n-1)/2)n^(3/2)√π/e
となります.
また,上限に関しては
τn ≦ 2^(0.401n(1+o(1)))
という式が知られています.
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