■ケプラーの球体充填問題(その12)
【4】まとめ
2次元平面の円配置において単位面積あたりもっとも多くの円を並べるには円の中心を三角格子の頂点にとります.その場合,各円は正六角形に内接(ひとつの円に6個の円が接する)します.3次元空間の球配置において単位体積あたりもっとも多くの球を並べるには,球の中心を正4面体と正八面体を交互に並べた頂点にとります.その場合,各球は菱形十二面体に内接(ひとつの球に12個の球が接する)します.
4次元空間の球配置において単位体積あたりもっとも多くの球を並べるには,球の中心を正16胞体の頂点にとります.その場合,各球は正24胞体(菱形十二面体の4次元版)に内接(ひとつの球に24個の球が接する)します.
5次元以上の空間の球配置において単位体積あたりもっとも多くの球を並べるには,球の中心は正多胞体ではない空間充填図形の頂点にとる必要があります.ここに高次元図形の落とし穴があるのですが,その場合,各球の接触数は5次元:40,6次元:72,7次元:126,8次元:240となることが知られています.
そして,最終的には簡単なグラフ的算法に帰着されるのですが,1≦n≦8では
n 1 2 3 4 5 6 7 8
下界 2 6 12 24 40 72 126 240
となり,ガウス記号を用いて
下界=n([2^(n-2)/3]+n+1)
の形にまとめられます.→(この式はn>8に対しては成り立ちません.n=9のとき468となるのですが,コクセターの上界401よりも大きくなってしまうからです.)
これより
n τn
1 2
2 6
3 12〜13
4 24〜26
5 40〜48
6 72〜85
7 126〜146
8 240〜244
となります.
以下に,現在知られている上界・下界(オドリズコ,スローン)を記しますが,コクセターの方法は,現在知られている上界よりほんの少し大きい方に偏っていることがわかります.このようにτnの知られている上限と下限の間の差はまだ非常に大きいといえます.
n τn n τn
1 2 13 1130〜2233
2 6 14 1582〜3492
3 12 15 2564〜5431
4 24〜25 16 4320〜8313
5 40〜46 17 5346〜12215
6 72〜82 18 7398〜17877
7 126〜140 19 10668〜25901
8 240 20 17400〜37974
9 306〜380 21 27720〜56852
10 500〜595 22 49896〜86537
11 582〜915 23 93150〜128096
12 840〜1416 24 196560
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