■整域(その4)
ユークリッド整域は,ある数体系内で,除法
α=β・γ+δ,|δ|<|β|
は可能かという問題です.(それに対して,単項イデアル整域(PID)は素因数分解の一意性が成り立つかどうかという問題です.)
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【1】複素数の場合
Z((−1+√−d)/2)は複素平面内で斜交格子を形成する.その菱形の4頂点は(0,√−d,(1+√−d)/2,(−1+√−d)/2)
β^-1αに最も近いZ(√−d)整数γが1未満にあるためには,
l^2=(√d/2−l)^2+(1/2)^2
−l√d+(d+1)/4=0
l=(d+1)/4√d
d=3のとき,1/√3<1(ユークリッド整域)アイゼンシュタイン整数環(正三角形格子)
d=7のとき,2/√7<1(ユークリッド整域)
d=11のとき,3/√11<1(ユークリッド整域)
[1]整数では一意分解定理が成立する.これは任意の整数nをdで割ったときの余りの絶対値をdより小さくとることができることに負っている.
|r|≦1/2・|d|
[2]ガウス整数でも一意分解定理が成立する.
|r|≦1/√2・|d|
アイセンシュタイン整数でも一意分解定理が成立する.
|r|≦1/√3・|d|
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一方,
[3]一意分解性をもつ虚2次体は9つのみ.この答えは既に知られていて,次の9つの虚2次体Q(√d)
−d=1,2,3,7,11,19,43,67,163
に限られる.
−d=19,43,67,163
は単項イデアル整域(PID)であるが,ユークリッド整域(ED)ではない.
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a,bを整数として、整数環{a+bθ}を考える場合、
ガウスの整数環θ=i
アイゼンシュタインの整数環θ=(-1+√-3)/2
他に
θ=√-2,√-5,(-1+√-7)/2,(-1+√-11)/2,(1+√5)/2
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