■完全ベキ乗数とカタラン予想(その7)
【3】ヴィーフェリッヒの定理(1909年)
「フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはヴィーフェリッヒ素数であることが必要である」
(2^(p-1)−1)/p=0 (mod p)・・・Wieferich判定基準
すなわち,2^(p-1)−1はp^2で割り切れるというものです.フェルマーの小定理より(2^(p-1)−1)/pは整数となりますが,非常に稀にこの整数がpの倍数になることがあり,そのときpをヴィーフェリッヒ素数といます.
ヴィーフェリッヒ素数はp=1093,3511が知られています.2つのヴィーフェリッヒ素数−1を2進数に変換すると
1092=10001000100
3510=110110110110
のように奇妙なパターンがみられるのだそうです.
なお,1910年,ミリマノフは
「フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはミリマノフ素数であることが必要である」をつけ加えています.
(3^(p-1)−1)/p=0 (mod p)
すなわち,3^(p-1)−1はp^2で割り切れるというものですが,(3^(p-1)−1)/pが整数となるpとしてp=11,1006003が知られています.また,5^(p-1)−1がp^2で割り切れるpとしてはp=188748146801が知られています.
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【4】ミハイレスクの定理(2002年)
オイラー以後,カタラン予想の一般的な証明は多くの数学者たちの挑戦を退けてきたのですが,2002年,ルーマニアの数学者,ミハイレスクがすべてを解決しました.
ミハイレスクは
「カタラン方程式x^p−y^q=1が非自明解をもつためには(p,q)がヴィーフェリッヒ対でなければならない」
すなわち,3^2−2^3=1以外の解が存在するならば,p,qはどちらもヴィーフェリッヒ素数の2倍,したがって,p^(q-1)をq^2で割ると余りが1,q^(p-1)をp^2で割ると余りが1にならなければならないことを証明しました.
(p,q)がヴィーフェリッヒ対でなければならないこと,そして,ミハイレスクはクンマーがフェルマー予想の証明の試みの中での発展させた「円分体の理論」を利用して,1のn次複素根を使った巧みな証明によって,158年間進展の見られなかったこの問題の最後の穴をふさぐことができたのです.
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【5】カタラン予想の一般化
かくしてカタラン予想はミハイリスク定理となって,数学界を仰天させたのですが,ワイルスがフェルマー予想を証明したときのほどの興奮はなく解かれました.しかしまだ終わりではありません.
カタラン予想をガウス整数を使って一般化すると
x^p−y^q=±1,±i
なる複素数a+biが存在するかどうかという問題になります.
現在のところ,
(78+78i)^2−(−23i)^3=i
以外の解があるかどうかについてはわかっていないそうです.
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