■カタラン予想とミハイレスクの定理(その11)
【3】ミハイレスクの定理(2002年)
オイラー以後,カタラン予想の一般的な証明は多くの数学者たちの挑戦を退けてきたのですが,2002年,ミハイレスクがすべてを解決しました.
ミハイレスクは
「カタラン方程式x^p−y^q=1が非自明解をもつためには(p,q)がヴィーフェリッヒ対でなければならない」
すなわち,3^2−2^3=1以外の解が存在するならば,p,qはどちらもヴィーフェリッヒ素数の2倍,したがって,p^(q-1)をq^2で割ると余りが1,q^(p-1)をp^2で割ると余りが1にならなければならないことを証明しました.
(p,q)がヴィーフェリッヒ対でなければならないこと,そして,ミハイレスクはクンマーがフェルマー予想の証明の試みの中での発展させた「円分体の理論」を利用して,1のn次複素根を使った巧みな証明によって,158年間進展の見られなかったこの問題の最後の穴をふさぐことができたのです.
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【4】カタラン予想の一般化
かくしてカタラン予想はミハイリスク定理となって,数学界を仰天させたのですが,ワイルスがフェルマー予想を証明したときのほどの興奮はなく解かれました.しかしまだ終わりではありません.
カタラン予想をガウス整数を使って一般化すると
x^p−y^q=±1,±i
なる複素数a+biが存在するかどうかという問題になります.
現在のところ,
(78+78i)^2−(−23i)^3=i
以外の解があるかどうかについてはわかっていないそうです.
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