■泡の構造(その10)
【2】4次元正多胞体とシュレーフリ記号
4次元正多胞体はシュレーフリ記号{p,q,r}・・・各頂点にp角形がq面集まる多面体が各辺にr個集まる・・・で表記されるとします.
3次元正多面体(p,q)を各辺のまわりにr個集めてできる4次元正多胞体の必要条件は,2面角のr倍が4直角未満ですから,正4面体(3,3)の2面角は71°より少し小さいので,1本の辺に3,4,5個の正4面体を置くことができます→(3,3,3),(3,3,4),(3,3,5).
立方体(4,3)の2面角は直角ですから,1本の辺のまわりに4個の立方体で隙間なく空間を充填します.しかし,(4,3,4)では無限の多面体になってしまいますから,超立方体(4,3,3)は有限胞体になります.
正8面体と正12面体の2面角は,90°と120°の間にあるので,1辺の周囲には3個の正多面体が置けます→(3,4,3),(5,3,3).正20面体の2面角は120°より大きいので,このようなことはできません.
すなわち,正4面体に対してはr=2,3,4.正6,8,12面体に対してはr=3.正20面体では許されないので,結局,正多胞体の可能性としては(3,3,3),(3,3,4),(3,3,5),(4,3,3),(3,4,3),(5,3,3)しかあり得ないことがわかります.
以上の必要条件をまとめると
1/p+1/q>1/2 (p,q≧3)
1/q+1/r>1/2 (q,r≧3)
となります.そして,実際にこの6通りの正多胞体が構成できます.なお(4,3,4)は角の和がちょうど4直角となるので,3次元空間充填形です.
そうすることによって,以下の結果が得られます(境界面p,頂点に集まる面q,辺に集まる胞r).
境界多面体 境界面p 頂点に集まる面q 辺に集まる胞r
5胞体 正4面体 3 3 3
8胞体 立方体 4 3 3
16胞体 正4面体 3 3 4
24胞体 正8面体 3 4 3
120胞体 正12面体 5 3 3
600胞体 正4面体 3 3 5
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【3】2次不等式
前節ではp,q,rに関する不等式
1/p+1/q>1/2 (p,q≧3)
1/q+1/r>1/2 (q,r≧3)
が現れましたが,有限群であるという条件からさらに2次不等式
p−4/p+2q+r−4/r<12
p−4/p<12−2q−r+4/r
p^2−(12−2q−r+4/r)p−4<0
が得られます.
泡細胞の合胞体の場合,1個の頂点に3個の辺が集まり,1本の辺の周りに3個の泡細胞が合するというのが空間分割の局所条件ですから,q=r=3とおくと
p^2−(13/3)p−4<0
p<(13+√313)/6=5.1153
これを
f=12/(6−p)
v=4p/(6−p)
e=6p/(6−p)
に代入すると
f=(23+√313)/3=13.564
v=2(17+√313)/3=23.128
e=17+√313=34.692
になるというわけです.これにて一件落着.
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