■泡の構造(その6)

【3】1つの泡に接する泡の数(その2)

 ここでは,別の方法でもっと簡単に1つの泡に接する泡の数を計算してみます.2つの泡がくっついたとき,その境界も球面になり,この3つの球面の接合角度は120°となります.また,互いに120°の角度で交わる石鹸膜の交線は

  arccos(−1/3)=109.471°

で接触します.正四面体の頂点から中心に向かう3枚の膜は互いに120°の角度をなし,中心に集まる4本の線は109.471°(マラルディの角)をなすのです.

 120°と109.471°は石鹸膜が接触するときの基本的な角度ですが,ここで泡が内角109.471°の正多角形からなる正多面体とみなせば,面は

 p=360/109.471=5.104

角形となります.

 また,3v=pf,2e=pfを,オイラーの多面体定理に代入すると

  pf/3−pf/2+f=2

  f=12/(6−p)

  f=13.39,v=22.78,e=34.18

すなわち,泡の平均の姿は22.78個の頂点,34.18本の辺,13.39枚の面からなる面が5.104角形の立体となることがわかります.平均的な泡細胞は正12面体にやや似たものになるというわけです.

 (その1)でもf=12/(6−p)にp=5.104を代入することによってf=13.39が得られましたが,(その1)で行った計算

  sin(π/p)=√(1/3)

はπ/pが正四面体の2面角の半分に等しいことを意味しているので,(その2)の結果とよく符合するのは当然のことです.

 実験的研究から多面体の面数は14面,面の形は五角形がもっとも多いことが知られていますが,理論的にもかなりよく符合する結果が得られ,実験で得られた値を裏付ける1つの根拠を与えてくれるのです.

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