■j(z)関数の特殊値(その31)
19世紀の後半,デデキントとクラインは独立に重さ0の保型関数
j(az+b/cz+d)=j(z)
を構成しました.j(z)は最も簡単でよく知られているSL(2,Z)不変な保型関数で,q=exp(2πiz)とおくと,
j(z)=E4(z)^3/Δ(z)
=1/q+744+196884q+21493760q^2+864299970q^3+・・・
と展開されます.j(z)は楕円モジュラー関数またはj関数と称されています.
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【5】ヴォルファルトの発見
ω1,ω2を1次独立な基底とする格子を考えます.その商τ=ω1/ω2を基本領域Γに属するようにとると,ある楕円曲線が構成され,判別式Δは重さ12のモジュラー形式となります.また,j(τ)は上半平面におけるΓ不変な重さ0のモジュラー関数となります.
虚2次体の虚数乗法の理論から,あるτに対する楕円モジュラー関数の値j(z)は代数的であることが知られています.逆にいうと,虚2次でない任意の代数的数に対しj(z)は超越数になるというのです.
そして,ヴォルファルトは
(1)Q(i)に属するあるτに対して,z=1−1/j(τ),2F1(1/12,5/12;1/2;z)が代数的点となるτが存在する
(2)Q(√−3)に属するあるτに対して,z=j(τ)/(j(τ)−1),2F1(1/12,5/12;1/2;z)が代数的点となるτが存在する
ことを示し,実際の代数的点
2F1(1/12,5/12;1/2;1323/1331)=3/4・4√11
2F1(1/12,7/12;2/3;64000/64009)=2/3・6√253
を求めています(1985年).
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1−1/j(τ)=1323/1331
8/1331=1/j(τ)、j(τ)=1331/8
(1)Q(i)に属するあるτに対して,有理数になってしまうのである。
j(τ)/(j(τ)−1)=1323/1331
j(τ)=1323/1331(j(τ)−1)
8/1331=-1323/1331j(τ)
j(τ)=-8/1323
(2)Q(√−3)に属するあるτに対して,,有理数になってしまうのである。
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j(i)=1728=12^3
j(i√2)=8000=20^3
j((1+i√3)/2=0
j((1+i√7)/2=-3375=-15^3
j((1+i√11)/2=-32^3
j((1+i√19)/2=-96^3
j((1+i√43)/2)=-960^3
j((1+i√67)/2)=-5280^3
j((1+i√163)/2)=-640320^3
j(i)=1728,j(ω)=0のようにきわめて超越的な関数が、整数になってしまうのである。
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