■キャノンボール問題(その4)

1個のキャノンボールを1辺2(4個)の正方形の上に載せる。次に、これを1辺3(9個)の正方形の上に載せる。・・・n段のピラミッドが出来上がる。

2段のピラミッドのキャノンボールの総数は1^2+2^2=5 (非平方数)

3段のピラミッドのキャノンボールの総数は1^2+2^2+3^2=14 (非平方数)

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n段のピラミッドのキャノンボールの総数はn(n+1)(2n+1)/6となる

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23段のピラミッドのキャノンボールの総数は23・24・47/6=4324 (非平方数)

24段のピラミッドのキャノンボールの総数は24・25・49/6=4900=70^2 (平方数)

24は平方数となる最初の数であり、最後の数でもある。

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【2】リュカの問題の拡張

 上記の問題を立方体に拡張することははるかに難しくなりますが,次に,たくさんの小立方体を立方体に詰め込む問題について考察してみましょう.最初のn個の立方数の和は平方数になります(Σk^3={n(n+1)/2}^2).

 フィボナッチはこれを次のように証明しました.

  1^3=1,2^3=3+5,3^3=7+9+11,4^3=13+15+17+19,5^3=21+23+25+27+29,・・・

また,最初のn個の奇数の和は1+3+5+・・・+(2n−1)=n^2 ,最初のn項までに現れる奇数の全項数は1+2+3+・・・+n=n(n+1)/2

よって,

  1^3+2^3+3^3+・・・+n^3={n(n+1)/2}^2=(1+2+3+・・・+n)^2

が示されます.

 三角数とはm(m+1)/2の型の自然数のことと定義すると,任意の立方数は2つの三角数の平方数の差と表されることがわかります.すなわち,y^3={y(y+1)/2}^2−{y(y−1)/2}^2がこの証明の根拠となっていることが理解されます.

 1^3+2^3+3^3+・・・は完全平方数ですが,はたして,この数は立方数になりうるでしょうか.

  1^3+2^3+3^3+・・・=1・1^2+2・2^2+3・3^2+・・・

より,この関連問題は,ある1つの正方形を1辺1の正方形1個,1辺2の正方形2個,1辺3の正方形3個,以下同様・・・,によって充填する問題といい換えてもよいのですが・・・.

 また,1からはじめなくてもよければ,3^2+4^2=5^2,18^2+19^2+・・・+28^2=77^2,3^3+4^3+5^3=6^3,11^3+12^3+13^3+14^3=20^3など連続した平方(立方)数の和が平方(立方)数となることはあるのですが,y^3={x(x+1)/2}^2にx=1,y=1以外の自明でない整数解はあるのでしょうか?

 実は,x=1を除きx(x+1)/2は立方数にはならないことが示されます.さらに,高次元化して

  Σk^s=1^s+2^s+3^s+・・・+n^s=m^s

の解について考察してみてもおもしろいかと思われます.ベルヌーイ数Bnが

  Σ1/n^s=1/1^s+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・

の計算に重要な役割を果たしているのですが,ベルヌーイ数は元来,ベキ和

  Σk^s=1^s+2^s+3^s+・・・+n^s

を求めるために考案されたものです.この和の中にs乗数はあるでしょうか.

Σk=n(n+1)/2

Σk^2=n(n+1)(2n+1)/6

Σk^3=n^2(n+1)^2/4

Σk^4=n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n−1)/30

Σk^5=n^2(n+1)^2(2n^2+2n−1)/12

Σk^6=n(n+1)(2n+1)(3n^4+6n^3−3n+1)/42

Σk^7=n^2(n+1)^2(3n^4+6n^3−n^2−4n+2)/24

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ですから,左辺は,sが偶数のときn(n+1)(2n+1)(多項式)/(整数),1以外の奇数のときn^2(n+1)^2(多項式)/(整数)と書くことができます.Σk^sは(s+1)次の多項式になり,最高次数の係数は1/(s+1)ですが,Σk^sはBn を含む一般式の形で表すことができます.もっと知りたい人のためには,クヌースらによる「コンピュータの数学」共立出版刊をお勧めします.

 不定方程式

  Σk^p=1^p+2^p+3^p+・・・+n^p=m^q

は(p,q)=(3,2)のときすべてのnについて,(p,q)=(1,2),(3,4),(5,2)のとき無限に整数解をもちますが,当該の不定方程式では,s≧3の場合,x=y=1以外に解はないものと予想されています.すなわち,十分条件はおろか充填のための必要条件すら満足しません.有理数解ならば簡単に与えられる問題であっても整数解に限ると格段にむずかしい深遠な問題に昇華するのです.

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