■4平方和定理と15定理(その3)

【4】ラグランジュの定理(4平方和定理)

 まず,簡単な数値実験から始めることにしましょう.1から10までの整数をいくつかの平方数の和の形式で表現するというものです.→[補]

 整数の平方

  0,1,4,9,16,25,・・・

は非常にまばらにしか存在しませんが,2つの平方数の和の形で表される整数はより頻繁に現れます.1,2,4,5,8,9,10,・・・

  1=1^2+0^2

  2=1^2+1^2

  4=2^2+0^2

  5=2^2+1^2

  8=2^2+2^2

  9=3^2+0^2

 10=3^2+1^2

 ここで,3,6,7といった整数は,2つの平方の和では書けないことがわかります.しかし,3つの平方和となると幾分間隙を埋めてくれます.

  3=1^2+1^2+1^2

  6=2^2+1^2+1^2

 それでも,なおすべての正の整数を得ることはできません.最後まで残った7に対しては3つの平方数の和で書けず,4つの平方数が必要となります.

  7=2^2+1^2+1^2+1^2

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 このような数値実験からいくつかのことが予想され,肯定的に証明されています.

[1]フェルマー・オイラーの定理(2平方和定理)

 特別な素数である2を除外して,素数は4で割ると余りが1になるもの(5,13,17,29,37,41,・・・)と3になるもの(3,7,11,19,23,31,・・・)の2種類に分けられます.

 このうち,4n+1の形の素数は2つの整数の平方の和として表されます.たとえば,5=1^2+2^2,13=2^2+3^2,17=1^2+4^2,29=2^2+5^2

 しかし,4n+3の形の素数は1つもこのようには表せないのです.この定理はフェルマーの定理と呼ばれ,フェルマーは無限降下法でこれを証明しましたが,その証明は不十分で,100年後のオイラーによって完全な証明がなされています.

 それでは,どのような自然数mが2つの平方数の和の形に書くことができるのでしょうか? 2つの平方数の和になる数m=4n+3はありません.mの素因数分解におけるp=4n+3の形のすべての素因数の指数が偶数であるときに限り,2つの平方数の和の形に表すことができるのです.

[2]ルジャンドルの定理(3平方和定理)

 4n+3の形の数は2個の平方数の和で表せませんが,同様にして,

  「8n+7の形の数は3個の平方数の和では表されない.」

ルジャンドルは,2次形式ax^2+by^2+cz^2の研究を通して,この結果を得ています. 

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