■ベン図・オイラー図(その10)

 1935年、フランス人数学者集団ブルバキは、表面的には異なる領域において共通する構造を見出すことを目的として、いくつかの公理から演繹して数学のすべてを形式化する活動を始めた。

彼らは図の使用は避け、その刊行物には図が一切なかった。ブルバキが図による証明を嫌ったことには実質を伴った理由がある。

2円が交差した場合,交差部A∩Bにはアーモンド型ができる.包除の組み合わせは2^2=4通りあるが,どれにも属さない集合が2円の外側の領域で表される.

3円が交差した場合,3つのアーモンドが交差した部分A∩B∩Cにさらにルーローの三角型ができる.包除の組み合わせは2^3=8通りあるが,7通りと3円の外側の領域とですべて表される.

4円が交差した場合,包除の組み合わせは2^4=16通りあるが,外側を含めても14の領域しかできないようにみえる.これでは16通りの包除関係を表現できないことになってしまうが,原因は円を用いているからダメなのであって,楕円などの閉曲線を適宜用いるしかない.「図の危ないところ」といえるだろう.

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図に見えているのは平面幾何学的な特殊事情なのかもしれない。

AとBとCとDの幾何学的な交わりを示す図を2次元の紙に描くことで、何かの関係を推論することには危険が伴うのである。

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n本の直線は平面をn(n+1)/2+1=(n^2+n+2)/2に分割することができるが

n本の円は平面をn^2-n+2に分割することができる

n=3のとき8=2^3、n=3のとき14<2^4

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