■フィボナッチ数と表現(その1)

 1,2,3,5,8,13,・・・

の一般項は

  Fn=1/√5[{(1+√5)/2}^n+1−{(1−√5)/2}^n+1]

で表されるが,

  Fn=Π(k=1~[(n+1)/2]){1+4cos^2(kπ/(n+1))}

はその三角関数表現になっているとのことである. この式はどうやって求めたものなのか,

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【1】x^n+1−1の因数分解

 f(x)=x^n+1−1=0の解を

  αk=cos(2kπ/(n+1))+isin(2kπ/(n+1))

とおく.

 複素数αkの共約複素数をαk~で表すことにすると

  αk+αk~=2cos(2kπ/(n+1)),αkαk~=1

より,

  (x−αk)(x−αk~)=x^2−2pk+1

  pk=cos(2kπ/(n+1))

となる.

 x^n+1−1の因数分解はnの偶奇によって若干様子が異なるが,nが偶数(n=2m)ならば,n+1=2m+1は奇数となって,f(x)=0の解は1,α1,α1~,αm,αm~となるから

  x^n+1−1=(x−1)Π(k=1~m)(x^2−2pk+1)

 nが奇数のとき(n+1=2m)は,±1,α1,α1~,αm-1,αm-1~より

  x^n+1−1=(x−1)(x+1)Π(k=1~m-1)(x^2−2pk+1)

となる.

 以上のことを同次化すると

n=2mのとき,

  a^n+1−b^n+1=(a−b)Π(k=1~m)(a^2−2pkab+b^2)

n=2m−1のとき,

  a^n+1−b^n+1=(a−b)(a+b)Π(k=1~m-1)(a^2−2pkab+b^2)

  pk=cos(2kπ/(n+1))

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【2】フィボナッチ数列の三角関数表現

  φ=(1+√5)/2,−1/φ=(1−√5)/2

とおくと,

  Fn=1/√5[φ^n+1−(−1/φ)^n+1]

となる.

 また,

  t=√5/2,φ=1/2+t=a,−1/φ=1/2−t=b

とおくと,

  a^2−2pkab+b^2

 =(1/2+t)^2−2pk(1/2+t)(1/2−t)+(1/2−t)^2

 =2{(2^-2+t^2)−(2^-2−t^2)pk}

 =2{2^-2(1−pk)+t^2(1+pk)}

 pk=cos(2kπ/(n+1))のとき,半角の公式

  1−pk=2sin^2(kπ/(n+1))

  1+pk=2cos^2(kπ/(n+1))

より

  a^2−2pkab+b^2

 =sin^2(kπ/(n+1))+4t^2cos^2(kπ/(n+1))

 =1+(4t^2−1)cos^2(kπ/(n+1))

 =1+4cos^2(kπ/(n+1))

 nが偶数の場合,

  (a−b)/√5=1,m=n/2

nが奇数の場合,

  (a−b)(a+b)/√5=1,m=(n+1)/2

となって,いずれの場合も

  Fn=Π(k=1~[(n+1)/2]){1+4cos^2(kπ/(n+1))}

で表されるというわけである.

 初項1,第2項1から始まるフィボナッチ数列

  1,1,2,3,5,8,・・・

の場合は,

  Fn=1/√5[{(1+√5)/2}^n−{(1−√5)/2}^n]

であるから,x^n−1に対応していて

  Fn=Π(k=1~[n/2]){1+4cos^2(kπ/n)}

となる.

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【3】雑感

 コラム「パズルワールド散策(その7)」で取り上げた畳敷きの問題(n×2mの長方形の部屋にn×m枚の畳を敷く場合の敷き方は何通りあるか)で,とくにm=1のときは

  K(n×2)=Π(l=1~[(n+1)/2]{1+4cos^2(lπ/(n+1))}

という式が出てくるが,これはフィボナッチ数列の三角関数表現になっている.

 ここで,n→2mと置き換えれば

  K(2m×2)=K(2×2m)

 =Π(k=1~m]{1+4cos^2(kπ/(2m+1))}

となる.また,n=1のとき,畳の敷き方はただ1通りであるから,

  K(1×2m)=1

  1+4cos^2(kπ/(2m+1))

の1はK(1×2m)=1の場合に対応していて,組み合わせ数の本質的な部分は

  4cos^2(kπ/(2m+1))

と思われる.そこで,K(n×2m)を求めるには1の代わりに

  4cos^2(lπ/(n+1))

を用いればよいことになる.

 以上のことから,

  K(n×2m)

 =Π(k=1~m)Π(l=1~[(n+1)/2]{4cos^2(lπ/(n+1))+4cos^2(kπ/(2m+1))}

 =2^2m[(n+1)/2]Π(k=1~m)Π(l=1~[(n+1)/2]{cos^2(lπ/(n+1))+cos^2(kπ/(2m+1))}

と考えられるのである.1が消えた理由を無理矢理こじつけたようであるが,・・・

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