■相転移の幾何学(その26)
氷結・溶解・蒸発・結露・昇華など,相転移(phase transition)とは,あるシステムが(特定のパラメータが変化することで)ひとつの状態から別の状態に突然変化することをいいます
たとえば、磁石では各分子がスピンをもっていて,外部から与えた方向に対して平行か、反平行かの2つの向きをもつことができる.
2つの両極端の状態は連続的に変わるのではなく,ある臨界温度Tcを境にして,スピンのそろった状態(強磁性)からバラバラになった状態(反強磁性)に突然に移り変わるのである.これが磁性現象における相転移である.
超伝導化や磁化(臨界温度・キュリー点)の過程でも起こりますが,平行多面体による相転移モデルは結晶の相転移のひとつのモデルとなります.
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【1】結晶の相転移
結晶格子は不変ではなく,金属結晶に鍛冶(鍛造冶金)を施すと結晶格子といえども不変骨格たり得ず,たとえば面心立方格子(最密充填)から体心立方格子(最疎被覆 )に移行する(相転移)。その途中,単純立方格子を経由しているかもしれない.もちろん個々の原子の振る舞いを直接確認することはできないが,その状態移行では空間の連続的な運動が起こらなければならない.
このことから,面心立方格子(菱形12面体),体心立方格子(切頂8面体),単純立方格子(立方体)を仲介する多面体が存在するはずであると考えるのは自然な発想であろう.さらに6角柱と長菱形12面体も含め,平行多面体全体にまで拡張して,それらをすべて仲介する多面体を求めたい.
面心立方格子と体心立方格子を仲介するメカニズムが存在するのである
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【2】フェドロフの定理に対する疑義
もし,5種類ある平行多面体自身がひとつのブロックで構成できるなら,自然界のレゴ・ブロックは1種類ということになる.そんな都合のいい多面体が存在するかどうか,当初は半信半疑というよりはむしろ懐疑的に思われていたが,そのようなブロックは実在する.
その多面体は奇妙な形の5面体であることから,ペンタドロンと名付けられた.ペンタドロンを元素記号に模してσで表すことにすると,立方体,6角柱,菱形12面体,長菱形12面体,切頂8面体はそれぞれσ12,σ36,σ192,σ384,σ48で構成されることになる.
[定理]平行多面体の元素数は「1」である
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