■楕円曲線の群構造(その7)
1970年代,フェルマーの問題を征するために必要となるのが楕円曲線であることが明らかになりました.楕円曲線には,楕円曲線と三点で交わる直線で,そのうちの二つの交点の座標がわかれば他の一点の座標も計算でき,二つの点の座標が有理数ならば,他の一点の座標も有理数であるなどの性質をもっています.
ところで,楕円曲線:y^2=x^3+1には無限に多くの整数点があるでしょうか,あるいは一つでも整数点はあるでしょうか.実は,これには整数点は(2,±3),(0,±1),(−1,0)の5つしかありません.また,この楕円曲線には有理点もやはりこの5つしかないのです.また,y^2=x^3−2は(3,±5)以外の整数点をもちませんが,無数に有理点が得られます.
一般に,y^2=x^3−aには有限個の整数解しかないのですが,たとえば,a=−7に対しては1つも整数解がありません.また,a≠−1,432ならば曲線上には無限個の有理点があることがわかっています.これらは上記の性質に拠っているのです.
a>0として,虚2次体Q(√−a)の整数論を用いて,y^2=x^3−aの整数解について以下の定理が成り立つ.
[参]青木昇「素数と2次体の整数論」共立出版
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【1】y^2=x^3−aの整数解
[定理]aは平方因子をもたない,
a≠7 (mod8)
虚2次体Q(√−a)の類数は3で割れないとき,y^2=x^3−aが整数解をもつのは,任意の整数uとe=±1に対して,
[1]a=3u^2+e,(x,y)=(3u^2+e,u(8u^2+3e))
[2]a=3u^2+8e,(x,y)=(3u^2+2e,u(u^2+3e))
のいずれかの場合に限る.
[例]a=11,u=2,e=1→(x,y)=(3,±4)
a=11,u=1,e=1→(x,y)=(15,±64)
a=1,u=0,e=1→(x,y)=(1,0)に限る.
a=2,u=0,e=−1→(x,y)=(3,±5)に限る.
a=3,どのような整数uをとっても3=3u^2±1,3=3u^2±8とはならない→整数解をもたない.
[注]a=7(mod8)のときは[1][2]以外の解があり得る.たとえば
a=15→(x,y)=(4,7)
a=23→(x,y)=(3,2)
a=2,u=0,e=−1→(x,y)=(3,±5)に限る.
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