■n軸構造(その7)
(その5)において,ねじれ重角錐Cの計量は4軸構造と完全に一致することを示した.この六面体は概空間充填するが,頂点のあたりで重なりを生じてしまう.
重なる部分をボロノイ分割のように処理して重ならないように工夫する必要があるが,そのためには(その4)で示した回転+平行移動,たとえば,P2=tA2+B2を回転対称軸とする−120°回転Q2では,W=(x,y,z)は
Q2(W−B2)+B2=Q2W−Q2B2+B2
に移ることを利用して重複部分を計算する.
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【1】同軸性の検証
重複部分を計算する前に,同軸性を検証しておきたい.
Q2:A1→−A3,A2→A2,A3→A4,A4→−A1
Q2:B2→−B23,B3→B34,B4→−B3
Q3:A1=−A4,A2→−A1,A3→A3,A4→A2
Q3:B2→−B4,B3→−B34,B4→B42
Q4:A1→−A2,A2→A3,A3→−A1,A4→A4
Q4:B2→B23,B3→−B2,B4→−B42
より,P1の中心軸A1について
W=sA1,|s|≦3d√(3/2)/2
とおくと,
Q2(sA1−B2)+B2=−sA3+B23+B2・・・・・・・(1)
これはA3方向を向くベクトルとなる.
同様に,P3を回転対称軸とする−120°回転Q3,P4を回転対称軸とする−120°回転Q4では
Q3(W−B3)+B3=Q3W−Q3B3+B3
Q4(W−B4)+B4=Q4W−Q4B4+B4
であるが,たとえば,Q4によってA3方向を向くのはP2であるから,
W=P2=tA2+B2,|t|≦d√(3/2)
とおくと,
Q4(tA2+B2−B4)+B4=tA3+B23+B42+B4・・・・・・・(2)
2円柱Pi,Pjの双方に対して垂直な単位ベクトルnijは
nij=Ai×Aj/|Ai×Aj|=1/√2(1,1,0)
さらに2円柱Pi,Pjの距離dijは
dij=|nij・(Bi−Bj)|=d
と計算されるを使って同軸であることを検証するのだが,(1),(2)
Q2(sA1−B2)+B2=−sA3+B23+B2,Bi=B23+B2
Q4(tA2+B2−B4)+B4=tA3+B23+B42+B4,Bj=B23+B42+B4
の両者に対して垂直なベクトルは
B3=d/√2[−1,0,1]
より,
nij=1/√2[−1,0,1]
Bi=d/√2[1,2,−1]
Bj=d/√2[3,0,1]
Bi−Bj=d/√2[−2,2,−2]
であるからdij=0.よって,同軸であることが確認された.
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【2】重複部分の計算
Q2(sA1−B2)+B2=−sA3+B23+B2,Bi=B23+B2,|s|≦3d√(3/2)/2・・・・・・・(1)
Q4(tA2+B2−B4)+B4=tA3+B23+B42+B4,Bj=B23+B42+B4,|t|≦d√(3/2)・・・・・・・(2)
より,(1)の端点は
d(1/√2−3/2√2,2/√2+3/2√2,−1/√2−3/2√2)=d/√2(−1/2,7/2,−5/2)
d(1/√2+3/2√2,2/√2−3/2√2,−1/√2+3/2√2)=d/√2(5/2,1/2,1/2)
(2)の端点は
d(3/√2−1/√2,1/√2,1/√2−1/√2)=d/√2(2,1,0)
d(3/√2+1/√2,−1/√2,1/√2+1/√2)=d/√2(4,−1,2)
となり,両者は重複することがわかる.
(1)と(2)の長さをそれぞれ3と2とすると,長さ0.5の部分が重複していることになる.問題は重複部分をどこで分割するかであるが,2:3に内分すると
|s|≦3d√(3/2)/2・4/5
|t|≦d√(3/2)・4/5
となり,直観的にはよいのではと思えるのだが,
[参]ウェルズ「不思議おもしろ幾何学事典」朝倉書店
では1:2に内分する点が選ばれている.
|s|≦3d√(3/2)/2・7/9=d√(3/2)・7/6
|t|≦d√(3/2)・5/6
一般に,m:nに内分する点で切断することにすると,
|s|≦3d√(3/2)/2・(3m+2n)/(3m+3n)
≦d√(3/2)・(3m+2n)/(2m+2n)
|t|≦d√(3/2)・(m+2n)/(2m+2n)
分割点は一意に決まるのかどうか,また,分割点を決めた後,分割の角度をどうやって決めればよいのかについてはまだわからないが,もうひとつの4軸構造をもたせることが必要になる.これらの問題は次回以降にまわすことにしたい.
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