■準周期的構造(その2)

【1】平面充填

 まず,正多角形でない多角形による平面充填形について考えてみましょう.ただし非凸な多角形による平面のタイル張り問題は難しいので,ここでは正多角形ではない不規則な凸多角形に限ってみます.

 三角形と四角形の場合は凸でなくてもよいのですが,どんな形の三角形,四角形でも平面を過不足なく敷きつめることができます.凸六角形では本質的に異なる3つのタイプの六角形だけが平面を埋めつくします.また,凸な多角形では七角以上になるとどんな型のものもうまくいきません.

 五角形は特に興味津々です.正五角形はどうしても隙間があいてしまいますが,凸五角形では,ホームベース形も含めて,現在,14種の平面充填形が知られています.六角形に関しては3種類以外のものは存在しないことが示されていますが,五角形に関しては14種ですべてかどうかはまだ証明されていません.

 このような問題はとかくとり漏らしやすいもので,見逃されているものがあるやもしれません.1975年にはほとんど数学を学んだことのない主婦ライスが「サイエンティフィック・アメリカン」誌の記事に触発されて,五角形で平面を敷き詰めるパターンでそれまで知られていないものを3種類も発見したほどですから・・・.

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 周期的な平面充填に対して,平行移動の周期がない非周期的平面充填についても多くの研究がなされています.最初に発見された非周期的タイルの集合は20426個の原型から構成されているものでした(1966年).

 その後,より少ない原型からなるものが発見され,現在のところ,1974年にイギリスの数理物理学者ペンローズの発見した2種類の菱形を組み合わせて平面を非周期的に敷きつめるものが最も構成要素の少ないものです.ペンローズタイルと呼ばれるこの敷きつめかたは,正五角形のような5重の対称性がありますが,隙間を生じません.

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