■原子の構造(その21)
熱放射に関するプランク分布は,数学的にみるとゼータ関数・ガンマ関数と関連しています.プランク分布の確率密度関数
f(x)=cx^3/[e^x-1] c=1/[Γ(4)ζ(4)]=15/π^4
は物理的には3種類ある統計力学のひとつ:BE統計の代表的な現象を表す分布として知られています.
ガンマ分布と似ていますが,分母から1を引いた式になっていることがミソとなって,ゼータ関数が登場してきます.分母から1を引いた形は無限等比級数
1+x+x^2+x^3+・・・1/(1−x)
を思い起こさせますが,実はそれがhνの整数倍nhνと深く関係するエネルギーの和であることを示しているのです.ベルヌーイ数{Bn}の指数型母関数x/[e^x-1]と非常によく似た形で与えられるといったほうがわかりやすいかもしれません.
この分布をさらに拡張させると,一般化プランク分布が得られます.その確率密度関数は,以下の式で表されます.
f(x)=cx^n/[e^x-1] c=1/[Γ(n+1)ζ(n+1)]
このように,一般化プランク分布にはゼータ関数やガンマ関数が出現しますが,上記のプランク分布はn=3の場合に相当します.また,2次までの積率は
μ1'=(n+1)ζ(n+2)/ζ(n+1)
μ2'=(n+1)(n+2)ζ(n+3)/ζ(n+1)
となりますが,さらに高次の積率は
integral(0,∞)x^n/[e^x-1]=Γ(n+1)ζ(n+1)
から求めることができます.
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