■原子の構造(その3)

 ラザフォードの散乱実験が描いた原子は,原子のほとんど全質量をになう原子核のまわりを電子が円運動しているというもので,原子の中がほとんど空虚であるというのは一種の衝撃でもありました.

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【1】原子の大きさ

 電子と水素原子核が距離a離れているとき,無限遠を規準とした電子の位置エネルギーは

  U(a)=−ke^2/a

 距離aで,電子が水素原子核のまわりをクーロン力に引かれて円運動するとき,

  mv^2/a=ke^2/a^2

であるから,運動エネルギーは

  mv^2/2=ke^2/2a

 したがって,全エネルギーは

  E=−ke^2/2a

イオン化エネルギーの測定値は13.6eVであるから,

  ke^2/2a=13.6→a=0.53×10^-10

直径にすると10^-10である.

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【2】原子核の大きさ

 α線(電荷2e)のビーム(運動エネルギー7.6MeV)を金箔(電荷79e)にぶつけたら,ある確率でそのα線がほとんど真後ろに跳ね返ってきた.

 位置エネルギーは

  U(r)=79・2ke^2/r

 運動エネルギーは

  mv^2/2=7.6MeV

 距離rまで近づき跳ね返されたとすると

  79・2ke^2/r=7.6MeV→r=3×10^-14

金の原子核の半径はこれより小さい.

 また,α線(電荷2e)のビーム(運動エネルギー7.6MeV)を窒素原子核(電荷7e)にぶつけたら,酸素原子核と水素原子核に変換された.

  7・2ke^2/r=7.6MeV→r=2.7×10^-15

 したがって,

  3×10^-14>金の原子核の半径>2.7×10^-15

その大きさは大体10^-15であり,原子の10万分の1という小さなものであった.原子1個が野球場の大きさとしたら原子核は砂粒くらいということになる.

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