■テンセグリティ構造(その14)
テンセグリティ構造(張力統合体構造)とはフラーが張力(tension)と統合(integrity)から作った造語である。彫刻家のスネルソンによって考案された棒とひもの組み合わせによる構造で、フラーによって広められた。おそらく、最初のテンセグリティ構造は帆船のマストと船の先端・船尾をロープでつないだ構造であったと思われる。
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【1】6本の矢
正20面体の黄金比に関する性質を利用して、正20面体のテンセグリティ・モデルを創生することができる。以下の写真は山ア 憲久さん(積み木インテリアギャラリー)による「6本の矢」からなるもので、単位立方体のそれぞれの面に長さφの木を直交3方向に配置したものである。合計12個の矢の端点を輪ゴムでつなぐと、正20面体が出来上がる。正20面体を形作る30本の辺の中には冗長なものがあるので、それを取り除くと24本の辺だけである。輪ゴムを使って空間菱形ができるように頂点を連結するのである。結局、6本の木に対して6個の輪ゴムを使うことになる。
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6本の矢は「イエッセンの20面体」と言われていますが、正二十面体にするには、三角形部分8か所に輪ゴムを重ねて少し小さくすればできそうに思います。そのときの輪ゴムの長さ(強さは同じとして)はいくらにすればよいでしょうか?(山ア 憲久)
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図では棒の長さが4で、棒の間隔が2になっているが,正20面体にしたいならば棒の長さ4,棒の間隔を4/φにしなければならない
輪ゴムであることを考えず、伸び縮みしないひもと考えことにしますが、
イエッセンの20面体の辺の長さは√6、したがって、空間菱形の辺の総長は√6x4
一方、正20面体の辺の長さは4/φですから,三角形の辺の総長を4/φx3とすればよいと思われます。(佐藤郁郎)
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