■テンセグリティ構造(その10)

テンセグリティ構造(張力統合体構造)とはフラーが張力(tension)と統合(integrity)から作った造語である。彫刻家のスネルソンによって考案された棒とひもの組み合わせによる構造で、フラーによって広められた。おそらく、最初のテンセグリティ構造は帆船のマストと船の先端・船尾をロープでつないだ構造であったと思われる。

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【1】6本の矢

下の写真は山ア 憲久さん(積み木インテリアギャラリー)による「6本の矢」からなるもので、辺長2の立方体のそれぞれの面に長さ4の木を直交3方向に配置したものである。合計12個の矢の端点を輪ゴムでつなぐと、「イエッセンの20面体」が出来上がる。「イエッセンの20面体」を形作る30本の辺の中には冗長なものがあるので、それを取り除くと24本の辺だけである。輪ゴムを使って空間菱形ができるように頂点を連結するのである。結局、6本の木に対して6個の輪ゴムを使うことになる。

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フラーのジターバック構造と呼ばれるものがある。これは立方八面体のスケルトンをひねると正20面体様のスケルトン構造できるというものである(ただし、菱形面には対角線が入っていると想像する必要があるが)。これは最密配置された12球は立方八面体の12個の頂点の位置に並ぶが、球同士の間に少し隙間を作ると正20面体の12個の頂点の位置になるというモデルとなっている。

さらに、フラーのジターバック構造は正20面体をつぶすと正八面体から最後には正四面体になるのである

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6本の矢をつぶすと正三角形が逆方向に組み合わさったダビデの星の退化しますが、こうなると6本の矢に戻すのは大変です。うまいジターバック構造を作れませんか?   (佐藤郁郎)

面白い遊びを思いつかれましたね。戻しにくくなるのは切り込み箇所で輪ゴムが重なっている部分が摩擦で滑りにくくなるからのようです。少し輪ゴムを浮かせながら棒を移動させれば戻すことができます。切込み部分を広げるとどうなるかですね。(山ア 憲久)

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