■ハードマテリアルの構造学(その7)
 (その7)で新たにわかったことは,完全グラフK4(v=4,e=6)が3次元関節の下でも4次元関節の下でも,不足している辺数が0となることであった.
[1]1次元:v−1−e=−3
[2]2次元:2v−3−e=−1
[3]3次元:3v−6−e=0
[4]4次元:4v−10−e=0
[5]5次元:5v−15−e=−1
[6]6次元:6v−21−e=−3
 このことは一般的に成り立つことなのだろうか?
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 完全グラフKm
  v=m,e=m(m−1)/2
をn次元関節の下の幾何学的安定性条件
  nv−n(n+1)/2−e
に代入する.
  nv−n(n+1)/2−e
 =nm−n(n+1)/2−m(m−1)/2
 =(2nm−n^2−m^2−n+m)/2
 =−((n−m)^2+(n−m))/2
 =−(n−m)(n−m+1)/2=0
  n=m,n=m−1
となって,一般的に成り立つことがわかる.
 完全グラフKn:v=n,e=n(n−3)/2+n=n(n−1)/2
を,2次元
  2v−3−e
に代入すると
  2v−3−e=2n−3−n(n−1)/2
 =−(n^2−5n+6)/2=−(n−2)(n−3)/2
n≧3では,不足している辺数が負となり,常に剛性条件が満たされる.
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 この関係は,コラム「トーラス面上の正則平面グラフ」に掲げた「種数g表面上の正則平面グラフ」・・・
 Kvが平面的であるならば,q=v−1,e=v(v−1)/2.
  f=2−2g+e−v=2−2g+v(v−1)/2−v
また,各面は少なくとも3つの辺をもたなければならないから,
  3(2−2g+v(v−1)/2−v)=3f≦2e=v(v−1)
 正則正則平面グラフであるためには
  3(2−2g+v(v−1)/2−v)=v(v−1)
  g=(v−3)(v−4)/12
 この方程式には解が無数にあるが,
  g=0 → K4
  g=1 → K7
  g=6 → K12
の議論ともよく類似している.
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