■ダ・ヴィンチ構造(その7)
例2:連続変形(非等間隔3分割・面正則)
ねじれ立方体の各正方形を適宜な大きさの正方形にすることができる。正方形の大きさを変えることで、正八面体←ねじれ立方体型→立方八面体へと連続変形する。同様に、正20面体←ねじれ12面体型→20・12面体、正四面体←ねじれ四面体型→正八面体となる。
(←)ピースの3等分設計を4等分設計に変更した場合の中心角は、ねじれ立方体(β=28.66度)、ねじれ12面体(β=19.31度)、ねじれ4面体(β=36度)となった。3α=4βは成り立たず、中心角は簡単な一般式では表せない。
(→)正多面体(a)とその双対多面体(b)の相貫体(a,b)では、共通部分に(4,4)=正八面体、(6,8)=立方八面体、(20,12)=20・12面体ができる。これらは赤道をもつ多面体で、セパタクローのボールは20・12面体型球状多面体の例である。それぞれ大円上に正方形・正六角形・正十角形が載っている。正六角形・正十角形は赤道周りの頂点数が4の倍数ではないので、強固な自己支持構造にならない。
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例3:ガウスの奇跡の五芒星とN芒星 (非等間隔3分割・面非正則)
コクセターがフリーズの研究を始めたのはガウスが奇跡の五芒星(pentagramma mirificum)と呼んだ球面上の五角形の研究がきっかけだったとされる。この五芒星は球面上の5つの大円が2個ずつ互いに直交した5組の対蹠点と赤道を与える。もっとも対称性の高いものでは球面正五角形の辺の中心角をα、a=tan2αと決めると、黄金則a2=a+1を満たし、大円をcosα=1/τ、α=51.83度、直角に対する補角α’=38.17度で交互に分割する。これを一般化したN芒星版は、正N角形2枚と二等辺三角形2N枚で反重角錐台状の球状多面体で、N=3の場合、側面の二等辺三角形は2つずつ合体して二角形3つになる(正八面体型、α=90度)。中心角αはcos(π/N)に関する簡単な式で表すことができる。
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参考文献
[1] 西山享:フリーズの数学 スケッチ帖-数と幾何のきらめき-、共立出版(2022), p123-
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