■ダ・ヴィンチ構造(その5)

ジオデシック・ドームとは正十二面体や正二十面体の対称性をできるだけ保持させながら三角形で細分割し、球面を近似する線分の集まりで構成したドーム状構造物である。

モントリオール万国博覧会のアメリカ館(1967)や富士山のレーダードーム(1964)が有名であるが、少ない材料で強度が保て広い空間が実現できることから、いまなお多くの熱烈愛好家(Fullerian)によって支持されている。

フラーは生前このドームを20万棟も建てたという。このドームは当時の日本の建築家の必携書「日本建築学会編・建築設計資料集成」に紹介されているという。

私がときどき買い物をする世田谷のPATE屋の玄関先にはいまでもジオデシック・ドームのポスターが貼られている。Fullerianなのであろう。

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一方、自己支持構造であるダヴィンチ・ドームを直線状の硬性構造材で作ろうとするとゆるい円弧にしかならない。球面状にするためには構造材そのものを円弧状にする必要がある。そのような球状構造物を近似的な測地線でなく、精確な大円弧(geodesic)からなる均質な構造材を鋲釘なしに組み上げることによって実現させた。

いわば錦帯橋の球体版である。その試みについては何度か研究会で紹介したことがある。

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