■フェルマーの最終定理と有限体(その208)

ラマヌジャンが示した

  a^3+b^3=c^3±1

のパラメータ解が正しいことが確認された.

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【1】ラマヌジャン解

 3つの数列{an},{bn},{cn}の母関数を以下のように定義する.

  Σanx^n=(1+53x+9x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

  Σbnx^n=(2−26x−12x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

  Σcnx^n=(2+8x−10x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

 すると

n      an        bn        cn

0       1       2        2

1     135     138      172

2   11161   11468    14258

3  926271  951690  1183258

のようになりますが,このとき

  an^3+bn^3=cn^3+(−1)^n

がすべてのn=0,1,2,3,・・・に対して成り立つ.

しかし、どうすればそんなことに気づくことができたのだろうか?

ラマヌジャンが如何にして3つの数列を結びつけることができたかは知る由もないが、長い間、数について研究し、様々な関連性を熟知していなければできないことだろう。才能・熱烈な好奇心・集中力のおかげでラマヌジャンは数の達人になることができたのである。

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【2】もうひとつのラマヌジャン解

 ラマヌジャンはa^3+b^3+c^3=d^3の解を二つの文字m,nの恒等式

a=3m^2+5mn−5n^2 ,

b=4m^2−4mn+6n^2 ,

c=5m^2−5mn−3n^2 ,

d=6m^2−4mn+4n^2

として与えています.3^3 +4^3+5^3=6^3

を意識したものですが,すべての解をもれなく表す式ではないとと思われます.

 (1−82x−82x^2+x^3)=(x+1)(x^2−83x+1)

  Σanx^n=(1+53x+9x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

  Σbnx^n=(2−26x−12x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

  Σcnx^n=(2+8x−10x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

は(a,b,c)=(1,2,2)から始まって次々に解となる数を見つけることができるというわけですが,(a,b,c)=(6,8,9)は含まれず,また、1729=1^3+12^3=9^3+10^3も含まれません。すべての解をもれなく表す式ではありませんが、収束を加速させる方法になっているようです。.

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