■フェルマーの最終定理と有限体(その195)
1729は,ラマヌジャンのタクシー・ナンバーの逸話でよく知られているように,2つの3乗数の和で2通りに表される最小の整数である.
1729=12^3+1^3=10^3+9^3
1728はそれよりも1小さい.したがって,
1729=12^3=12・12・12
であるが,モジュラー関数j(z)のz=iにおける特殊値である.この性質がタクシー・ナンバーの逸話のもとになっていると思われる.
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【1】3次曲線
1次変換で移り合うものは同一視して,3次式の標準形を求める.テイトの標準形は
y^2+xy=x^3−36x/(j−1728)−1/(j−1728)
ここでjは複素数で,j≠0,1728,j(E)=jと定める.
また,ワイエルシュトラスの標準形は
y^2=x^3−(c4/48)x−c6/864
j(E)=c4^3/Δ,Δ=(c4^3−c6^2)/1728と定める.
j=0→c4=0,c6≠0
j=1728→c4≠0,c6=0
j(E)は不変量で,3次曲線EとE’が1次変換で移り合うとき,
j(E)=j(E’) (同型)
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【2】2重周期関数
zを複素変数,τを虚数部分が0でない複素数として
x(z)=1/z^2+Σ{1/(z−mτ−n)^2−1/(mτ+n)^2}
を定義する.和は(0,0)以外のすべての整数組(m,n)についてとる.zがpτ+q(格子点)以外の点であれば,この無限和は有限値に収束する.
さらに
y(z)=dx(z)dz
とおくと,
{y(z)}^2=4{x(z)}^3−g2x(z)−g3
g2,g3はτのみに依存して,zに依存しない定数
が成立する.
zが格子点以外の複素数を自由に動くとき(x(z),y(z))は曲線
y^2=4x^3−g2x−g3
上を動く.
一方,複素数zの平行移動
z→z+mτ+n
によって,トーラス面と同一視することができる.さらに
τ’=(aτ+b)/(cτ+d),a,b,c,dは整数で,ad−bc=1
によって,曲線y^2=4x^3−g2x−g3と同一視できる.
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