■代数的整数と最小拡大数体(その19)

最高次の係数が1である整数係数方程式x^n+a1x^n-1+・・・+an=0の解となる複素数のことを代数的整数という。

√2は方程式x^2-2=0を満たす代数的整数である。

3√2,i,(-1+i√3)/2はそれぞれx^3-3=0,x^2+1=0,x^2+x+1=0の解であるから代数的整数である。

しかし、1/3,√2/2,(-1+i√5)/2,e,π代数的整数ではない。

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代数的整数の和と積がともに代数的整数であることは自明なことではない。

√3+√5+√7は代数的整数であるが、それが満たすような次数8の多項方程式を見つけるには結構な時間がかかる。

3√3+8√5+7√7+10√1221のモニック多項式を探すとなると、誰も取り掛かろうとはしないだろう。

代数的数α=√3+√5を取り上げる。

(1)α^2=8+2√15→√15が現れる。

(2)α^3=3√3+9√5+15√3+5√5=18√3+14√5→新しい平方根は現れない

(3)α^4=64+32√15+6=124+32√15

(4)α^nを計算しても、1と3つの平方根√3、√5、√15のほかに新しい平方根は現れない。すなわち、α^nは1と3つの平方根√3、√5、√15の線形結合である

(5)以上のことにより、αは次数4の整数係数の多項方程式を満たす

α^2=8+2√15

α^2-8=2√15

α^4-16α^2+64=60

α^4-16α^2+4=0

あるいは

√15=(α^2-8)/2

α^4=124+32√15=124+32(α^2-8)/2=124+16(α^2-8)=124+16α^2-128

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α^3-18α=-4 √5

α^3-14α=4 √3

は使わなくてもよいのだろうか?

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