■ブラーマグプタ・バースカラ・チャクラバーラ法(その10)
[2]連分数
mが小さいときは比較的簡単に求まりましたが,ペル方程式の自然数解を求めることはそれほどやさしくはありません.Q(√199)を考えてみると,199=3(mod4)の素数ですが,
x^2−199y^2=±1
の最小解は
(16266196520,1153080099)
にもなってしまいます.
この解を求めるには√199の連分数展開
√199=[14;9,2,1,2,2,5,4,1,1,13,1,1,4,5,2,2,1,2,9,28,・・・]
を用います.9〜28は循環節(周期20)です.
冒頭で述べたことを標準連分数の場合に書き換えますと,
α=[q1,・・・,qn]=Pn/Qn
P0=1,P1=q1,Pn=qnPn-1+Pn-2
Q0=0,Q1=1 ,Qn=qnQn-1+Qn-2 (n=2,3,・・・)
で
PnQn-1−Pn-1Qn=(−1)^n (n=1,2,・・・)
PnQn-2−Pn-2Qn=(−1)^n-1qn (n=2,3,・・・)
が成り立ちます.
また,
α=[q1,・・・,qn-1,qn,qn+1,・・・]
の部分列[qn,qn+1,・・・]に対して
αn=[qn,qn+1,・・・]
なる実数αnを定めると
α=[q1,・・・,qn-1,αn]
=(αnPn-1+Pn-2)/(αnQn-1+Qn-2)
が証明されます.
これに循環連分数になるという性質が加わって,ペル方程式の解が得られるのですが,
√m=[q1,q2,・・・,qn,2q1] (周期n)
αn+1=[2q1,q2,・・・]=√m+q1
より
√m=((√m+q1)Pn+Pn-1)/((√m+q1)Qn+Qn-1)
ここで,
PnQn-1−Pn-1Qn=(−1)^n (n=1,2,・・・)
より,
Pn^2−mQn^2=(−1)^n
となり,ペル方程式の解(Pn,Qn)が得られます.
√199=[14;9,2,1,2,2,5,4,1,1,13,1,1,4,5,2,2,1,2,9,28,・・・]
では,q1=14,q2=9,q3=2,・・・,n=20ですから
P Q
0 1 0
1 14 1
2 127 9
3 268 19
4 396 28
5 1058 75
6 2511 178
7 13613 965
8 56963 4038
9 70576 5003
10 127593 9041
11 1728583 122536
12 1856122 131577
13 3584705 254113
14 16194942 1148029
15 84559415 5994258
16 185313772 13136545
17 455186959 32267348
18 640500731 45403893
19 1736188421 123075134
20 16266196520 1153080099
となって,
(16266196520,1153080099)
が得られました.
ペル方程式は√mの連分数展開を用いると非常には求められるのですが,最小解がmと較べて非常に大きい例としては
m ε ノルム
46 24335+3588√46 +1
94 2143295+221064√94 +1
151 1728148040+140634693√151 +1
193 1764132+126985√193 −1
409 111921796968+5534176685√409 −1
526 84056091546952933775+3665019757324295532√526 +1
などが知られているようです.
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