■楕円曲線と弾性曲線(その17)

 レムニスケートの弧長lは

  l=integral(0-r){1+(rdθ/dr)^2}^(1/2)dr

  =integral(0-r)2a^2/{4a^4-r^4}^(1/2)

とくに,a=1/√2とおくと,

  l=integral(0-r)1/{1ーr^4}^(1/2)

となります.

 このようにして,ベルヌーイはレムニスケートの弧長を

  f(x)=1/(1-x^4)^(1/2)

  u=F(z)=integral(0-z)f(x)dx

と表しました.これがレムニスケート積分と呼ばれる典型的な楕円積分です.ただし,レムニスケート積分が第1種楕円積分なのに対し,楕円弧長を求める積分は第2種楕円積分であり,パラレルな関係にはありません.

 F(z)の逆関数であるレムニスケートサインsl(u)を求めてみることにしましょう.実際に1/(1-x^4)^(1/2)を2項展開し,さらに項別積分すると

  F(z)=z+1/10z5+1/24z9+5/208z16+・・・

この逆関数のべき級数展開は

  sl(u)=u-1/10u5+1/120u9+11/15600u13+・・・

    =u(1-1/10u4+1/120u8+・・・)

    =ug(u4)

となります.

 また,

  integral(0-1)f(x)dx=1.311028・・・=ω

とおくことにしましょう.4ωがレムニスケートの全長です.すなわち,レムニスケートサインは周期4ωをもつことがわかります.円に類比すると,レムニスケートの定数ωは円に対するπと同じ役割を演じていることになります.さらにまた,レムニスケートには円に共通する性質があり,定規とコンパスだけで奇数のn等分することができる必要十分条件はnがフェルマー素数(n=22^m+1の形の素数:3,5,17,257,65537)であることです.

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