■楕円曲線と弾性曲線(その16)

【ヤコビの楕円関数】

 ヤコビは第1種不完全楕円積分

  f(x)=1/{(1-x^2)(1-k^2x^2)}^(1/2)

  ω=F(z)=integral(0-Z)f(x)dx

に対して,正弦関数をまねてF-1(ω)をsnω=F-1(ω)と定義し,

  sn-1z=integral(0-Z)f(x)dx

を得ました.また,三角関数にならって

  cnω=sqr(1-sn2ω),dnω=sqr(1-k2sn2ω)

と定義しました.関数sn,cn,dnがヤコビの楕円関数です.また,ヤコビは指数関数に対応するテータ関数(周期関数)で,ヤコビの楕円関数を表すことにも成功しています.

 第1種不完全楕円積分において,k→0とすると,

  K(0)=integral(0-Z)f(x)dx=sin-1z

k→1とすると,

  K(1)=integral(0-Z)f(x)dx=tanh-1z

ですから,snωはsinωとtanhωの中間に位置していることがわかります.実際にベキ級数展開を求めると,

  snω=ω-(1+k2)/6ω3-(3+2k2+3k4)/40ω5+・・・

が得られます.

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