■カテノイド(その3)

(問)互いに平行な2つの円形の枠に石けん膜を張ったとき,その形は?

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(答)この問題は「y=f(x)>0のグラフをx軸を中心に回転させてできる曲面の面積を最小にしたい」と等価です.曲面の面積は

  S[y]=2π∫y(1+(y')^2)^1/2dx

で与えられます.懸垂線(カテナリー)の問題を変分法によって解いたのはベルヌーイであったのですが,これは懸垂線で考えた位置エネルギーの2π倍ですから,解は懸垂線を回転させたものであることが導かれます.

f(x)=cosh(αx)/α が解である

ただし,x>0におけるy=coshx/xの最小値はおよそ1.5088である.したがって,この値よりもyが小さかったら解はない.1.5088=1/0.6627

針金でできた半径1の2つの輪があるとき,その間隔が1.3254よりも小さければカテノイドができ,大きければできない.

αが存在しないときには汎関数自体が存在しない。変分法では存在自体が問題になるのである。

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 f(x)/x=cosh(αx)/αx

x=1,f(x)=1.8で計算してみると、α=0.695,α=1.90という2つの解が得られる。対応するカテノイドを描いてみるとα=1.90は面積最小を与えるが、α=0.695は最小を与えない。出てきたものがすべて最小を与えるとは限らない。最小となるための必要条件を追求してきただけなのである。

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半径aの円形の針金2本が平面z=0とz=hに置かれているものとする。

曲面はz=R(z)をz軸について回転させたものとする。

面積が最小となるためには、最終的にRR"-(R')^2=1

R(z)=1/c・cosh(cz+d)

R(0)=a,R(h)=aより、

R(z)=1/c・cosh(c(z-h/2)),cosh(ch/2)=ca

ξはxtanhx=1の正の根1.1997,1/2・sinhξ=0.7544

[1]a>h/2・sinhξのとき、2つの解c>0をもつ

[2]a=h/2・sinhξのとき、1つの解c>0をもつ

[3]a<h/2・sinhξのとき、c>0なる解をもたない

2つの針金の輪が離れすぎると極小曲面は存在しない。

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