■チェバと円定理(その34)

【1】射影幾何学におけるパップスの定理とデザルグの定理

[1]パップスの定理

 直線上に3点A,B,C,もう一つの直線上に3点A’,B’,C’をとる.AB’とA’Bの交点をP,BC’とB’Cの交点をQ,AC’とA’Cの交点をRとするとき,P,Q,Rは同一直線上にある.

 すなわち,2直線上にすべての頂点がのっている6角形の反対側の位置にある辺同士の交点は同一直線上にあるというのが,射影幾何学におけるパップスの定理である.

 パスカルの定理は円錐曲線が既約でない場合にも成り立つといわけで,これを発見したのもパップスである.直線は無限半径をもつ円であるが,2本の直線からなる退化した円錐曲線を考えれば容易にこの定理にたどりつくであろう.

[2]デザルグの定理

 △ABCと△A’B’C’において,AA’とBB’とCC’が点Oで交わるとする.ABとA’B’の交点をP,BCとB’C’の交点をQ,ACとA’C’の交点をRとするとき,P,Q,Rは同一直線上にある.

 透視図法で移り合う2つの三角形について,対応する辺の交点はすべて1直線上にあるというのがデザルグの定理である.平行でない直線は有限の点で交わるが,平行な直線群は同じ無限遠点で交わる.無限遠直線を導入すると,任意の2直線は必ず交わることになるのである.

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 1899年,ヒルベルトは代数学から幾何学への貢献となる素晴らしい発見をしています.

  パップスの定理が成立する←→多元数系は可換

  デザルグの定理が成立する←→多元数系は結合的

パップスの定理もデザルグの定理もヒルベルトにより射影幾何学のカギとなる定理であることが示されたというわけです.

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