■素数の無限性(その42)
【1】素数定理
素数の分布は不規則かつ複雑で未知の部分が多いのですが,18世紀から19世紀にまたがって活躍したガウスは,「素数はどのような規則で現れるか」ということを考え,素数定理を予想しました(1792年:ガウスは当時15才であった).
素数定理とは,
π(x)〜x/logx (x→∞)
というものです.ここで,π(x)は任意の整数xを越えない素数の個数を表すものとします.素数定理は,xを超えない素数の個数を与える近似的な公式ですが,”〜”記号は漸近的に等しい,すなわちxが十分大きいとき両者の比が1に近づくという意味であって,両者の差がなくなるという意味ではありません.
いいかえれば,この近似式の絶対誤差はxの増大とともに増大するが,相対誤差は減少する,つまり,左辺と右辺の比はxを∞にすると極限が存在して0でも無限大でもなく,1に収束する,
π(x)/(x/logx)〜1 (x→∞)
ということです.xに近い2つの連続した素数間の平均距離はおよそlogxだといってもよいでしょう.
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【補】スターリングの公式
数列{an}と{bn}がともに無限大に発散し,差{an−bn}は無限大に発散するが,比{an/bn}は1に近づくという例に,階乗n!の近似値を与える公式として有名なスターリングの公式があります.
n!〜√(2πn)n^nexp(-n)
スターリングの公式ではnが大きくなるほど相対誤差は小さくなります.
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