■素数の分解(その31)
四元数ω=(1+i+j+k)/2は単位四元数である.一方,軸n周りのθ回転は単位四元数
q=(cosθ/2,sinθ/2n)
で表せるから
θ/2=π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)
すなわち,(1,1,1)方向を軸とする120°回転に対応している.
同様に,
ω^2=(−1+i+j+k)/2
はθ/2=2π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする240°回転,
ω^4=−(1+i+j+k)/2
はθ/2=−π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする−120°回転,
ω^5=(1−i−j−k)/2
はθ/2=−π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする−120°回転.
q=±1
はθ/2=±π,n=(0,0,0)より無回転(恒等写像)であるが,
q=±i
はθ/2=±π/2,n=(1,0,0)より(1,0,0)方向=x軸を軸とする±90°回転に対応している.
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各軸周りの回転角θをオイラー角と呼ぶ.回転行列は
[1, 0, 0 ]
R1 =[0, cosθ,sinθ]
[0,−sinθ,cosθ]
[cosθ,0,−sinθ]
R2 =[ 0, 1, 0 ]
[sinθ,0, cosθ]
[ cosθ,sinθ,0]
R3 =[−sinθ,cosθ,0]
[ 0, 0, 1]
として,各軸周りの回転の合成A=R1R2R3のようなものを考えた場合,軸周りの回転の順番を変えると結果が違ってしまう.
また,A=R1(θ1)・R2(θ2)・R3(θ3)において,θ2=π/2とすると
[ 0 , 0 ,−1]
A=[sin(θ1−θ3), cos(θ1−θ3), 0]
[cos(θ1−θ3),−sin(θ1−θ3), 0]
となり,もはやx軸周りの回転を表すことができなくなる.これはy軸を90°傾けると,x軸とz軸が同軸になってしまうからである.
単位四元数を用いた回転ではこれらを避けることができるのだが,実用上はオイラー角方式による回転の取り扱いも捨て去られたわけではないとのことである.
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