■リー群と表現(その30)

[補]幾何学と単純リー群の分類

 

 単純リー群を分類するという問題はある意味では興味深い幾何学の可能性を決定することになります.キリングやカルタンの研究は面白い幾何学がどれだけできるかという設問に対する解答でもあり,大ざっぱにいえば,A型が複素ユニタリ幾何,B型とD型がそれぞれ奇数次元と偶数次元の実ユークリッド幾何,C型が4元数上の幾何学,5つの例外型は8元数上の幾何学に対応しています.線形代数はAkという特定のルート系の理論であり,ユークリッド空間やシンプレクティック空間の幾何に対応するのはBk,Ck,Dkの理論というわけです.

 

 カルタンによりコンパクト単純リー群は,例外的なものを除き,A型,B型,C型,D型の4系列をなしていることが知られていますが,そのうちの2系列

  B型   SO(2n−1)(n≧2)

  D型   SO(2n)  (n≧3)

は回転群で,B型とD型はそれぞれ奇数次元と偶数次元の実ユークリッド幾何に対応しています.なお,n=4が例外であることがこのことからもみてとれるでしょう.

 

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