■リー群と表現(その27)
【4】既約ルート系の分類
ルート系の分類は,それ自体大変面白いものらしいのですが,既約ルート系の同型類には,A型からG型までのアルファベットに,添字として階数をつけた名前が付いていて,E8型ルート系などと呼ぶ習慣になっています.
基本単体を鏡映も許しながら自分自身に重ねていく操作がルート系であり,それは,アメリカのキリングやフランスのカルタンによって成し遂げられた単純リー群の分類と関係しています.
それによれば,階数nの既約ルート系は,Ak(k≧1),Bk(k≧2),Ck(k≧3),Dk(k≧4),E6,E7,E8,F4,G2の型のいずれかであり,既約ルート系の分類の基づいて,単純リー群を分類すると9つの型があり,それらはA,B,C,Dと名づけられた4つの古典型とE6,E7,E8,F4,G2と名づけられた5つの例外型でした(カルタンの分類定理).
ルート系(リー型の単純群)はA型からG型まで7種類あるとしてよく,4つの古典群,5系列の例外群,さらにそのうちで対称性をもつA,D,E6,D4の4系列,疑似対称性をもつB2,G2,F4の3系列で16系列に細分することもできるでしょう.
・−・・・・・−・ (An:n≧2のとき位数2の自己同型がある)
・
/
・−・・・・・ (Dn:n≧4のとき位数2の自己同型がある)
\
・
3
/
1−2 (D4:位数3の自己同型がある)
\
4
4
|
1−2−3−5−6 (E6:位数2の自己同型がある)
1=2 (B2) 1≡2 (G2) 1−2=3−4 (F4)
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階数1のルート系はA1の1種類に限られ既約です.また,階数2のルート系はA1×A1,A2,B2,G2の4種類に限られます.A2型,B2型,G2型のルート系は既約ですが,A1×A1型のルート系は既約ではありません.階数nの既約ルート系はAk(k≧1),Bk(k≧2),Ck(k≧3),Dk(k≧4),E6,E7,E8,F4,G2の型のいずれかなのです.
最後に,複素単純リー代数の階数と次元との関係を表にしておきます.
(1)Ak(k≧1) 同次特殊線形群,k(k+2)次元
(2)Bk(k≧2) 直交群,2k+1変数の2次形式,k(2k+1)次元
(3)Ck(k≧3) 斜交群,2k変数のパッフ形式,k(2k+1)次元
(4)Dk(k≧4) 直交群,2k変数の2次形式,k(2k-1)次元
(5)E6 78次元
(6)E7 133次元
(7)E8 248次元
(8)F4 52次元
(9)G2 14次元
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