■連分数展開の第n近似分数(その68)

 ブラーマグプタの銘言に「数学者とは

  x^2−92y^2=1

を1年以内に解ける人のことである」とあるそうです.

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【1】ブラーマグプタの恒等式

  (x1^2−Ny1^2)(x2^2−Ny2^2)=(x1x2+Ny1y2)^2−N(x1y2+x2y1)^2

 そして,ブラーマグプタはこの恒等式を使って

  x^2−92y^2=1

を解いたそうです(628年).

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 たとえば,x=10,y=1のとき

  x^2−92y^2=8

比較的小さい値なので,これを使うことにする.

[1]ブラーマグプタの恒等式に

  N=92,x1=x2=10,y1=y2=1

を代入すると

  8^2=192^2−192・20^2

  1=24^2−92・(5/2)^2

[2]ブラーマグプタの恒等式に

  N=92,x1=x2=24,y1=y2=5/2

を代入すると

  1=1151^2−92・120^2

 したがって,(x,y)=(1151,120)はペル方程式の整数解となる.

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【1】チャクラバーラ法

チャクラバーラ法は近い方程式の解を見つけることから出発する

x=a,y=bがひとつの小さい数値kに対するNx^2+k=y^2の解であるとする

たとえばx=1,y=mはNx^2+(m^2-N)=y^2の解である。

このときブラーマグプタの恒等式より

N(am+b)^2+(m^2-n)k=(bm+Na)^2

x=(am+b)/k,y(bm+Na)/kはNx^2+(m^2-N)/k=y^2の解になっている。

mをam+bがkで割り切れるようにとるとbm+Naもkで割り切れることになり、

x=(am+b)/k,y(bm+Na)/kはNx^2+(m^2-N)/k=y^2の解であって、(m^2-N)/kもまた整数である。

そこで、(m^2-N)/kがkよりも小さくなるように工夫すれば、この操作の繰り返しによりNx^2+1=y^2の整数解が得られることになる。

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