■2体問題と3体問題(その5)

【1】2体問題のラグランジュ点(秤動点)

1770年代、2体問題において、2つの大きい物体に対して相対的に静止し続ける5つの小さな物体が存在しうることを発見した。

その5点はラグランジュ点(秤動点)と呼ばれる。

そのうち3点は太陽と地球を結ぶ一直線上にある。(L1は太陽と地球の間、L2は地球のかげ、L3は太陽の裏の地球の軌道上の点)

L3は地球の反対の位置にあって、地球からは見えない点であり、SF作家は反地球が存在するという仮説を好んで用いている。

L3、L4、L5は地球の軌道上の3点で、正三角形を構成している。(L4は地球の前方60度、L5は地球の後方60度の点)

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太陽と地球の系ではL4、L5には宇宙塵しか見つかっていないが、太陽と木星の系ではL4、L5はトロヤ惑星群の質量中心になっている。

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制限三体問題の正三角形解、直線解に対応する平衡点はラグランジュ点と呼ばれる。直線解をL1,L2,L3、正三角形解を L4,L5

ラグランジュは彼が見つけた解が天文学において重要なものとは考えなかった。しかし、太陽−木星−小惑星のような三体問題では、太陽と木星とトロヤ群に属する小惑星の3体が近似的に正三角形をなすことが発見され、ラグランジュ解の近くにある三体問題の解について調べることは興味深い問題となった。(太陽の周りを公転する木星の後ろにあるものをトロヤ群、前にあるものをギリシャ群と呼ぶこともある)

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