■tan1°・cos1°・sin1°(その18)
【2】sin1°の無理数性
[Q]tan1°は有理数か? 無理数か?
の問題では,なぜtanを使ったか?
[1]tanの加法定理はtanのみで表現できる.試験問題は,その後,数学的帰納法と背理法を使って論理性を確かめることを主眼としている.とすれば,関数として,tanをして使ったのは適切だという気がする.
[2]sinの加法定理はsin,cosの両方が出てきてしまう.よって,限られた時間内に解くので,受験生にとっては災難.
tan1°が無理数であることは加法定理を使って示すことができますが,sin1°が無理数であることの証明は格段と難しくなります.背理法を使って証明してみましょう.
sin1°が有理数であると仮定する.3倍角の公式,
sin3θ=3sinθ−4sin^3θ
よりsin3°は有理数.次に,5倍角の公式,
sin5θ=16sin^5−20sin^3θ+5sinθ
よりsin15°は有理数.
これは,
sin15°=(√6−√2)/4は無理数
であることに矛盾する.
高校生ならば三角関数の加法定理を使って
sin15°=sin(60°−45°)=sin60°cos45°−cos60°sin45°=(√6−√2)/4
中学生でも1:√3:2(30°,60°,90°)の直角三角形の長さ√3の辺を斜辺の長さ2だけ延長させた1:2+√3:√6+√2(15°,75°,90°)の直角三角形に対して,ピタゴラスの定理を利用して
sin15°=(2+√3)/(√6+√2)=(√6−√2)/4
を求めることができるだろう.
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