■18世紀における微積分(その137)
解析学大要では、問題
∫(-1,1) 1/Sqrt((1-2sx+s^2)(1-2tx +t^2) dx
のまえに、Rodriguesの公式の説明があり、直交性のことに言及している。
しかし、級数展開の話は出てこないし、無限級数の項別積分の可否や、複素平面での積分の話題は、第三章以降のトピックスとなる。
従って、多くの学生は、
1/sqrt((a-x)(b-x))
の形で積分を行い、満足してしまうだろう。
計算結果に疑問を持った学生が、先生に質問すれば、問題の背景や、級数展開して、ルジャンドルの多項式の直交性を使うことを教えてくれるだろう。
これは、出題した著者の勇み足というよりは、将来の勉強に向けた橋渡しの問題という事になる。
なお、級数展開をする時点では、いったん|t|,|s|<1という課程をしなければならないが、問題の積分は、(一応、実数でああるが)制限はない。しかし、いったん積分結果を得てしまえば、t,sの値の制限は、取り去ってよいことになろう。
実に、意味深長な問題といえる。 (阪本ひろむ)
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