■18世紀における微積分(その114)
−1<x<1で,次のような無限級数を考えます.
Σ(−1)^nx^n=1/(1+x)
これは1/(1+x)のx=0におけるテイラー展開とみることができます.これを積分するとlog(1+x)のx=0におけるテイラー展開
Σ(−1)^n+1x^n+1/(n+1)=log(1+x)
が得られます.
xをx^2に置き換えて,同様の議論を行うと,arctanxのx=0におけるテイラー展開が得られます.
Σ(−1)^nx^2n=1/(1+x^2)
Σ(−1)^2n+1x^2n+1/(2n+1)=arctanx
ここで,X−1とおくと,無限級数
Σ(−1)^n+1/(n+1)=log2
Σ(−1)^2n+1/(2n+1)=π/4
が得られます.後者はライプニッツ級数と呼ばれています.
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【1】グレゴリー・ライプニッツ級数
グレゴリー・ライプニッツ級数(1673年)
π/4=1−1/2+1/5−1/7+1/9−1/11+・・・
の左辺にも半径1の円の円周の長さπがおかれている.
この式の右辺は
(1+1/3)^-1(1−1/5)^-1(1+1/7)^-1(1+1/11)^-1(1−1/13)^-1・・・
と書き直すことができる.
すなわち,4で割って3余る素数のところに
(1+1/p)^-1
4で割って1余る素数のところに
(1−1/p)^-1
とおくと,
4=2π・1/2・(1+1/3)(1−1/5)(1+1/7)(1+1/11)(1−1/13)・・・
加藤和也「素数の歌が聞こえる」ぷねうま舎
によると,分子のπは(実数世界での円の長さ)・(2進整数の世界での円の長さ)・(3進整数の世界での円の長さ)・(5進整数の世界での円の長さ)・・・となって,πを素数達が協力しあって生み出している様子を表している,一方,分母の4は円x^2+y^2=1上に整数点が4個あることを表しているという.
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【2】グレゴリー・ライプニッツ級数のオイラー積
グレゴリー・ライプニッツ級数のオイラー積は
(1+1/3)^-1・(1−1/5)^-1・(1+1/7)^-1・(1−1/11)^-1・(1+1/13)^-1・・・
=(1−1/3^s+1/9^s−1/27^s+・・・)(1+1/5^s+1/25^s+・・・)(1+1/7^s+・・・)・・・
というように素数についての積の形に書くことができる.このような関係から,奇数全体についての交代級数の話が素数全体についての積の話になる.
これは,ディリクレのL関数
L(s,χ)=Π(1−χ(p)p^-s)^-1=Σχ(n)n^-s
において,
χ(p)=(−1)^(p-1)/2,χ(n)=(−1)^(n-1)/2
L(s)=Π(1−(−1)^(p-1)/2p^-s)^-1=Σ(−1)^(n-1)/2n^-s
としたものである.
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【3】積の順序
4で割って1余る素数をp,4で割って3余る素数をqとする.
Π(1−1/p)^-1〜C√(logx)
Π(1+1/q)^-1〜/π4C√(logx)
p<x^a,q<x^bとすると
Π(1−1/p)^-1×Π(1+1/q)^-1=π/4・√(a/b)
a=b=1のとき
Π(1−1/p)^-1×Π(1+1/q)^-1=π/4(グレゴリー・ライプニッツ級数)
(1+1/3)^-1(1−1/5)^-1(1+1/7)^-1(1+1/11)^-1(1−1/13)^-1・・・
a=2,b=1のとき
Π(1−1/p)^-1×Π(1+1/q)^-1=π/2√2
(1−1/5)^-1(1+1/3)^-1(1−1/13)^-1(1−1/17)^-1(1−1/29)^-1・・・
すなわち,素数の並び方を変えると絶対収束しない.積の順序はむやみに変更してはいかないのである.
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【4】和の順序
一般に,
1/1−1/2+1/3−1/4+・・・=log2
の項の順序を,正の項をm個,負の項をn個ずつ交互に並べ替えてできる級数の和は
log2+1/2・logm/n
となる.
[1]m=2,n=1→3/2log2
[2]m=1,n=2→1/2log2
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