■包除原理(その13)

 オイラーの関数φ(d)は1からd−1までの整数のうち,dと互いに素になるものの個数として定義されます.たとえば,d=7の場合1,2,3,4,5,6なのでφ(7)=6,d=10の場合1,3,7,9がそうなのでφ(10)=4となります.

 

 1は素因数をもたないため,φ(1)は意味をなしませんが,特別にφ(1)=1と定義されます.

  φ(1)=φ(2)=1,

  φ(3)=φ(4)=φ(6)=2,

  φ(5)=φ(8)=φ(10)=4,

  φ(7)=φ(9)=6

 

 1760年頃,オイラーは,数nが素因数p,q,r,・・・をもつときに,それらの重複度にかかわらず,

  φ(n)=n(1−1/p)(1−1/q)(1−1/r)・・・

であることを示しました.

 

 この原理は「エラトステネスのふるい」によっているのですが,たとえば,10=2・5,44=2^2・11,100=2^2・5^2より,

  φ(10)=10(1−1/2)(1−1/5)=4

  φ(44)=44(1−1/2)(1−1/11)=20

  φ(100)=100(1−1/2)(1−1/5)=40

また,任意の素数pに対して,

  φ(p^n)=p^n(1−1/p)

したがって,

  φ(p)=p(1−1/p)=p−1

となります.

 

 また,

  n=φ(p)+φ(q)+φ(r)+φ(pq)+・・・+φ(pqr)+・・・

が成り立ちます.すなわち,どんな数nもすべての約数のオイラー関数を足し合わせた値と一致するのです.

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