■既約性判定基準(その173)

【2】3次曲線の射影変換

 3次曲線は,射影変換を用いれば次のいずれかに変換されます.

  (1)y^2=x^3

  (2)y^2=x^2(x−1)

  (3)y^2=x(x−1)(x−λ)  λ≠0,1

 (1)は「く」の字型曲線で原点で尖点をもちます.(2)は「の」の字型曲線で原点を通ったところでループを描いて自分自身と交差しますから,原点が2重点となります.(3)はループと弓形曲線の2つに分離します.すなわち,(1)(2)は特異点をもち,(3)は非特異です.したがって,滑らかな非特異3次曲線は(3)の形に表せます.これらは特異点による分類といってもよいのですが,射影変換によって互いに写り合う3次曲線は同型とみなされます.

(証)3次曲線とはf(x,y)=0が2変数x,yの3次あるいは3次以下の方程式で与えられた曲線

  a1x^3+a2y^3+a3xy^2+a4x^2y+a5x^2+a6y^2+a7xy+ax8+a9y+a10=0

で,一般式の項数は10になります.

 3次以上の曲線を実数の範囲で考察するのは大変厄介であり,x,yを複素数で考察すると理論が単純化されます.そこで,変数を複素数の範囲で考えると,C上7個の関数1,f,g,f^2,fg,f^3,g^2は1次従属ですから,ある複素数の組(a0,・・・,a6)が存在して,

  a0g^2+a1f^3+a2fg+a3f^2+a4g+a5f+a6=0

を満たします.ここで,a0=1としてよく,楕円曲線はC^2上の3次曲線

  y^2+a2xy+a4y=−a1x^3−a3x2−a5x−a6

の射影化と同型です.

 これをもう少し簡単な形に変形すると

  y^2+a2xy+a4y=(y+a2x/2+a4/2)^2−a2^2x^2/4−a2a4x/2−a4^2/4

  y1=y+a2x/2+a4/2x,x1=x3√(−a1)

と1次変換すれば

  y1^2=x1^3+b1x1^2+b2x1+b3=(x1−α1)(x2−α2)(x3−α3)

 ここで,C上の2点α1,α2を0,1に変換する1次変換とy1の定数倍により,y^2=x(x−1)(x−λ)という形に変形できます.

  [参]安藤哲哉「代数曲線・代数曲面入門」数学書房

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