■既約性判定基準(その32)
正七角形の場合、7は原始根をもつが、7はフェルマー素数でないので6-1は2のベキ乗ではない。
両方の条件を満たさなければならないが、これはフェルマー素数によってのみ満たされる。
Φ17(z)は有理数係数をもつ多項式には分解できないが、ガウスは2次方程式を繰り返す形に分解できることを示したので、その結果、コンパスと定規で正十七角形を作図できるのである。
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【2】円分多項式の登場
x^n−1の因数分解が,nの約数dを使って次のように書かれることを考えます.
x−1=Φ1(x)
x^2−1=Φ1(x)Φ2(x)
x^3−1=Φ1(x)Φ3(x)
x^4−1=Φ1(x)Φ2(x)Φ4(x)
x^5−1=Φ1(x)Φ5(x)
x^6−1=Φ1(x)Φ2(x)Φ3(x)Φ6(x)
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x^18−1=Φ1(x)Φ2(x)Φ3(x)Φ6(x)Φ9(x)Φ18(x)
x^36−1=Φ1(x)Φ2(x)Φ3(x)Φ4(x)Φ6(x)Φ9(x)Φ12(x)Φ18(x)Φ36(x)
すると
Φ1(x)=x−1
Φ2(x)=x+1
Φ3(x)=x^2+x+1
Φ4(x)=x^2+1
Φ5(x)=x^4+x^3+x^2+x+1
Φ6(x)=x^2−x+1
Φ7(x)=x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1x−1
Φ8(x)=x^4+1
Φ9(x)=x^6+x^3+1
Φ12(x)=x^4−x^2+1
Φ15(x)=x^8−x^7+x^5−x^4+x^3−x+1
Φ16(x)=x^8+1
Φ18(x)=x^6−x^3+1
Φ24(x)=x^8−x^4+1
Φ36(x)=x^12−x^6+1
と定まります.
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【3】円分多項式の解
[1]Φ1(x)=x−1=0
x=1
[2]Φ2(x)=x+1=0
x=−1
[3]Φ3(x)=x^2+x+1=0
x=(−1±i√3)/2=ω,ω^2
[4]Φ4(x)=x^2+1=0
x=±i
[5]Φ6(x)=x^2−x+1=0
x=(1±i√3)/2
[6]Φ5(x)=x^4+x^3+x^2+x+1=0
ガウス平面で正5角形の頂点を表す4次方程式
x^4+x^3+x^2+x+1=0
の両辺をx^2でわり,
x^2+x+1+1/x+1/x^2=0 (相反方程式)
y=x+1/x=2cos(2π/5)
と変数変換すると2次方程式
y^2+y−1=0
に帰着され,
y=(√5−1)/2=2cos(2π/5)
cos(2π/5)=(√5−1)/4
が得られる.正三角形。正方形,正六角形に較べ,正5角形はなぜ描くのが難しいのかという問いに対するい答えは円分多項式にあるというわけです.
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【4】円分多項式の解の代入
[1]Φ1(x)=x−1=0,x=1の代入
Φn(1)の値として現れる数は1以外は素数である
[2]Φ2(x)=x+1=0,x=−1の代入
Φn(−1)の値として現れる数は1以外は素数,あるいは2で割ると素数のベキ乗の形である
[3]Φ3(x)=x^2+x+1=0,x=ω,ω^2の代入
Φn(ω)Φn(ω^2)の値として現れる数は1以外は素数,あるいは2で割ると素数のベキ乗の形である
[4]Φ4(x)=x^2+1=0,x=±i2の代入
Φn(i)Φn(−x)の値として現れる数は1以外は素数,あるいは2で割ると素数のベキ乗の形である
[5]Φ5(x)=x^4+x^3+x^2+x+1=0,x=α,β,γ,δの代入
Φn(α)Φn(β)Φn(γ)Φn(δ)の値として現れる数は1以外は素数,あるいは2で割ると素数のベキ乗の形である
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【5】円分多項式を相反多項式にする
y=x+1/x=2cos(2π/n)
Ψ3(y)=y+1
Ψ4(y)=y
Ψ5(y)=y^2+y−1
Ψ6(y)=y−1
Ψ7(y)=y^3+y^2−2y−1
Ψ8(y)=y^2−2
Ψ9(y)=y^3−3y+1
Ψ10(y)=y^2−y−1
Ψ12(y)=y^2−3
Ψ14(y)=y^3−y^2−2y+1
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さらに,三角関数のn倍角の公式を起源とするチェビシェフ多項式Tn(x),Un(x)において,2Tn(x/2),Un(x/2)はΨd(x)で因数分解される.
2T1(x/2)=x=Ψ4(x)
2T2(x/2)=x^2−2=Ψ8(x)
2T3(x/2)=x(x^2−3)=Ψ4(x)Ψ12(x)
2T4(x/2)=x^4−4x^2=2=Ψ16(x)
2T5(x/2)=x(x^4−5x^2+5)=Ψ4(x)Ψ20(x)
U1(x/2)=x=Ψ4(x)
U2(x/2)=(x+1)(x−1)=Ψ3(x)Ψ6(x)
U3(x/2)=x(x^2−2)=Ψ4(x)Ψ8(x)
U4(x/2)=(x^2+x−1)(x^2−x−1)=Ψ5(x)Ψ10(x)
U5(x/2)=x(x+1)(x−1)(x^2−3)=Ψ3(x)Ψ4(x)Ψ6(x)Ψ12(x)
[参]小池正夫「実験・発見・数学体験」数学書房
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