■直観幾何学研究会2024(その43)
阿賀岡芳夫先生(元・広島大)がダヴィンチボールとの関係で、5次方程式のガロア群について話された。
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kは5次方程式
2x^5 -(√5+1)x^4-(5-√5)x^3+2(√5-1)x^2+8x-4(√5+1)=0のただ一つの実数解で、近似値はk ≒ 1:914387
主張:kの正確な値を根号を用いて表すことはできない!
この方程式が, 根号では解けない方程式であることを示せばよい→ ガロア理論
この方程式の係数体をQ(√5)としたとき、ガロア群は5 次対称群S5 になる→S5 は可解群ではないから, この方程式は根号だけでは解けない
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ガロア群の求め方
(1) この方程式はQ(√5)上既約であることを示す
(2) x = y +(1 +√5)/10とおいて標準形に直す
y^5 +(-31 + 3√5)/10・y^3 +3(-(11 + 2√5)/25・y^2+12(46-√5)/125・y-(9919 + 9845√5)/6250= 0
(3) このy の方程式のresolvent を求める. ここに,y^5 + py^3 + qy^2 + ry + s = 0 のresolvent とは
y^6 + 8ry^5 + (2pq^2- 6p^2r + 40r^2- 50qs)y^4
+(-2q^4 + 21pq^2r- 40p^2r^2 + 160r^3- 15p^2qs-400qrs + 125ps^2)y^3 +・・・・・・
+ (q^8 -13pq^6r+p^5q^2r^2 + 65p^2q^4r^2- 4p^6r^3 -128p^3q^2r^3+・・・・・-1250pqrs^3 + 3125p^2s^4- 9375rs^4) = 0
(4) このとき,
「もとの5次方程式が根号を用いて解ける←→このy の6次方程式がQ(√5) の中に解を持つ」
この定理を使って判定する
Q(√5) の中に解を持たなければ, もとの方程式のガロア群は, 5次の対称群か交代群のいずれか.
(5) さらに,
「ガロア群が5次交代群に含まれる←→方程式の判別式がQ(√5) のある元の2乗になる」
今の場合
判別式= 112(9331 + 4236√5) ≠Q(√5)^2だから, ガロア群は交代群には含まれず, 対称群になる
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5次方程式
41x^5 + (3 + 16√5)x^4 + 6(15-2√5)x^3+(69-√5)x^2 + (7 + 10√5)x-2 + 3√5 = 0
これも根号では解けない5次方程式
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